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加藤豪将「ただ野球をするチャンスが…」
コロナ禍で深刻なマイナーリーガーの今

失われた“プレーする場所”

マイアミ・マーリンズとマイナー契約をする25歳の加藤豪将が、マイナーリーガーの現状を嘆いた
マイアミ・マーリンズとマイナー契約をする25歳の加藤豪将が、マイナーリーガーの現状を嘆いた【Photo by Joe Robbins/Getty Images】

 悲痛な叫びだ。


 MLBマイアミ・マーリンズとマイナー契約した25歳の加藤豪将が、新型コロナウイルスの影響を大いに受ける、マイナーリーグの現状を自身のツイッターで憂いている。


 カリフォルニア州生まれの加藤は、高校時代に米国代表として日米親善高校野球大会にも出場した選手で、13年のドラフト2巡目(全体66位)でニューヨーク・ヤンキースに入団した。アメリカと日本の二重国籍ではあるが、日本人が全体100位以内でドラフト指名されたのは初めてで、かつてない経緯での日本人メジャーリーガーの誕生が期待された。


 18年と19年にはヤンキースの招待選手としてメジャーのスプリングキャンプに参加したが、昇格は果たせず、今季からマイアミ・マーリンズとマイナー契約を結び、メジャー昇格を目指していた。しかし、世界規模で感染症が流行するという異常事態の中、プレーする場所さえない状況に追い込まれている。

大量解雇されたマイナーリーガー

 緊急事態宣言が解除された日本では、無観客ながらもプロ野球開幕へとこぎつけた。だが、世界ワーストの感染者数を更新し続けるアメリカでは出口が一向に見えない。そんな中、現地時間(以後全て同じ)の5月28日にスポーツ専門局ESPNの電子版が、MLBのマイナー選手が何百人単位で大量解雇されたと報道。同31日付の米経済誌フォーブス電子版では、シーズン中止が「時間の問題」と報じられた。


 その一方で、メジャーリーグはMLB機構と選手会が合意し、レギュラーシーズン60試合制で7月23日か24日の開幕が決定した。各球団の関係者も含めて、いまだに感染者が増え続けている状況の中、強行開催とも言える決定だが、マイナーリーグの現状はより厳しいようだ。


 23日にロイター通信は、マイナーリーグ球団と保険会社の訴訟問題について報道した。新型コロナウイルスの流行を受けて試合の中止を余儀なくされ「壊滅的な損失」を被ったが、保険会社が事業中断保険の請求に応じないと訴えている。


 チームの運営が厳しくなれば、当然ながら現場は多大な影響を受けることになる。選手1人あたり週400ドル(約4万3000円)が補償されている手当も、球団によっては6月以降、支払われない場合もあり、球団職員の解雇も進んでいるという。

救済に動いたメジャーリーガーたち

 この深刻な現状を受け、行動に出たメジャーリーガーたちもいる。ロサンゼルス・ドジャースのデービット・プライスは傘下マイナーに所属する選手に1人あたり1000ドル(約10万8000円)を自ら拠出した。プライスは当初、球団に寄付を公表しないように求めていたが、マイナー選手が1000ドルの受給を打ち明けたというエピソードをMLBネットワークのジョン・ヘイマン記者がTwitterで取り上げ、称賛した。


 他にもテキサス・レンジャーズの韓国人メジャーリーガー・秋信守が4月に同球団の傘下マイナー選手に1人あたり1000ドルを寄付すると発表している。

 日本人メジャーリーガーでも、シカゴ・カブス所属のダルビッシュ有が、開幕延期問題についてツイッターで反応し、音声配信サービスの「Now Voice(ナウボイス)」で今シーズン限定の開幕案を紹介した。この中には、加藤のようなプレーの場を失ったマイナー選手に関しての救済策も述べられている。



 ダルビッシュが自ら「珍案」としている提言は、「(希望する人のみ)マイナーリーグの選手をメジャーの試合でプレーさせる」というものだ。高額な年俸を稼ぐメジャーリーガーには健康面などのリスクを背負ってまで今季プレーしたいと声は多くないが、マイナーリーガーの中には多くはなくても給料が支払われて、さらにメジャーのユニフォームを着てプレーができる機会があるのであれば、喜んでプレーする選手も多くいるのではと指摘した。実際に実現するには難しい案であると話しながらも、もしこのような案が実現すれば、給料の大小にかかわらず、加藤も喜び勇んでプレーするはずだろう。


 現役生活が短いプロスポーツ選手にとって、「1年」は長く、大きい。コロナ禍によって、才能豊かな若手たちが成長の機会と活躍の舞台を失うのは、将来における大きな損失になる。ヤンキース傘下のマイナー所属時代に「ジーター2世」とまで評された加藤がMLBの舞台でプレーできることになれば、本人にとっても、日本のファンにとっても喜ばしい機会だ。今後のスポーツ界に必要になるのは、「災い転じて福となす」のことわざ通り、この危機的状況を新たなチャンスとして生かす機転だ。

ベースボール・タイムズ
ベースボール・タイムズ

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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