加藤豪将「ただ野球をするチャンスが…」 コロナ禍で深刻なマイナーリーガーの今
失われた“プレーする場所”
マイアミ・マーリンズとマイナー契約をする25歳の加藤豪将が、マイナーリーガーの現状を嘆いた 【Photo by Joe Robbins/Getty Images】
MLBマイアミ・マーリンズとマイナー契約した25歳の加藤豪将が、新型コロナウイルスの影響を大いに受ける、マイナーリーグの現状を自身のツイッターで憂いている。
18年と19年にはヤンキースの招待選手としてメジャーのスプリングキャンプに参加したが、昇格は果たせず、今季からマイアミ・マーリンズとマイナー契約を結び、メジャー昇格を目指していた。しかし、世界規模で感染症が流行するという異常事態の中、プレーする場所さえない状況に追い込まれている。
大量解雇されたマイナーリーガー
その一方で、メジャーリーグはMLB機構と選手会が合意し、レギュラーシーズン60試合制で7月23日か24日の開幕が決定した。各球団の関係者も含めて、いまだに感染者が増え続けている状況の中、強行開催とも言える決定だが、マイナーリーグの現状はより厳しいようだ。
23日にロイター通信は、マイナーリーグ球団と保険会社の訴訟問題について報道した。新型コロナウイルスの流行を受けて試合の中止を余儀なくされ「壊滅的な損失」を被ったが、保険会社が事業中断保険の請求に応じないと訴えている。
チームの運営が厳しくなれば、当然ながら現場は多大な影響を受けることになる。選手1人あたり週400ドル(約4万3000円)が補償されている手当も、球団によっては6月以降、支払われない場合もあり、球団職員の解雇も進んでいるという。
救済に動いたメジャーリーガーたち
他にもテキサス・レンジャーズの韓国人メジャーリーガー・秋信守が4月に同球団の傘下マイナー選手に1人あたり1000ドルを寄付すると発表している。
ダルビッシュが自ら「珍案」としている提言は、「(希望する人のみ)マイナーリーグの選手をメジャーの試合でプレーさせる」というものだ。高額な年俸を稼ぐメジャーリーガーには健康面などのリスクを背負ってまで今季プレーしたいと声は多くないが、マイナーリーガーの中には多くはなくても給料が支払われて、さらにメジャーのユニフォームを着てプレーができる機会があるのであれば、喜んでプレーする選手も多くいるのではと指摘した。実際に実現するには難しい案であると話しながらも、もしこのような案が実現すれば、給料の大小にかかわらず、加藤も喜び勇んでプレーするはずだろう。
現役生活が短いプロスポーツ選手にとって、「1年」は長く、大きい。コロナ禍によって、才能豊かな若手たちが成長の機会と活躍の舞台を失うのは、将来における大きな損失になる。ヤンキース傘下のマイナー所属時代に「ジーター2世」とまで評された加藤がMLBの舞台でプレーできることになれば、本人にとっても、日本のファンにとっても喜ばしい機会だ。今後のスポーツ界に必要になるのは、「災い転じて福となす」のことわざ通り、この危機的状況を新たなチャンスとして生かす機転だ。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ