連載:肉体派アスリートの「トレーニングメソッド」

C大阪・都倉賢が裏打ちするデータの有効性 進化する肉体とバロテッリポーズの真相

C-NAPS編集部
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ローパワーを重視するサッカー選手らしい引き締まった肉体の都倉。バロテッリポーズをすると広背筋や腸腰筋のすごさが際立つ 【写真:C-NAPS編集部】

 187センチ80キロという恵まれた体格を生かし、ゴール前の競り合いやセットプレーでの空中戦で圧倒的な存在感を示しているJ1・セレッソ大阪の都倉賢。ディフェンスに当たり負けない驚異のフィジカルと、度肝を抜かれるようなダイナミックなプレーでファンを魅了し続けてきた。その屈強な肉体は、フィジカル不足が指摘されがちの日本サッカーにおいては、まさに「稀有(けう)な存在」である。

 しかし、都倉は単に筋肉だけが自慢という、いわゆる“脳筋”タイプではない。さまざまなデータやテクノロジーを駆使し、いかに自身のパフォーマンスを最大限に発揮できるかを常に模索しているのだ。そんな理論派のフィジカルモンスターである都倉に、自身のトレーニング法と肉体の秘訣(ひけつ)について聞いた。また、2019年に負った全治8カ月の大ケガの際にSNSで使用したハッシュタグ「#返り咲きカウントダウン」の真意、さらには12年に自らの名を世に広く知らしめたあの「バロテッリポーズ」の秘話についても語ってもらった。

屈強な肉体とデータに基づいた予測・準備でゴールを量産

肉体を駆使したダイナミックなゴールの印象が強い都倉だが、その裏にはデータに基づいた緻密な予測と準備があった 【写真は共同】

 以前からさまざまなトレーニングを試していますが、今はパフォーマンスの数値を測定するために「GymAware」という機器を活用していますね。昨シーズンのオフにリハビリを兼ねてロサンゼルスに行った際にGymAwareを知って、そのノウハウを取り入れることにしました。GymAwareはトレーニングの際の「スピード」や「パワー」を計測する機器で、Bluetoothを通してiPadなどの端末ですぐにデータを確認できます。数値として可視化することで、今までは感覚的だったトレーニングの質を向上させることが目的ですね。

 例えば、感覚値として自分は30〜40メートル走った際のスピードは速いけど、初速がどうもイマイチだと思っていました。実際にスナッチ(バーベルを頭上まで一気に持ち上げるトレーニング)で数値を計測してみると、初速目標値が3に対してフォームが少し乱れた際の実数値が2.7と少し低かったんですよ。この結果からも正しいフォームで体を使いこなせていないと、思うようなパフォーマンスが引き出せていないことは明白ですよね。

 僕は約5年前から陸上トレーニングを導入し、走りのフォーム改善にも取り組んでいます。そのおかげもあり、2月に行われたルヴァンカップの松本山雅FC戦では、昨シーズンに大ケガを負う前の記録を塗り変えて最高速度を叩き出したんですよ。トレーニングの仕方によって年齢とかケガを言い訳にすることなく、スペックを向上させられると証明できましたね。自分は特殊なトレーニングをしたわけではありません。でもデータをログとして残すだけでなく上手く活用することで、トレーニングの目的を明確にし、同時に質を高めることもできました。
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著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

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