今こそ思い出したい“一丸”となる意味 2018年・西武の大逆転劇を振り返る
日本ハム投手陣を圧倒した“山賊打線”
森のサヨナラ打に歓喜の輪が広がった 【写真は共同】
迎えた9回裏、日本ハムが送ったクローザーの石川直也に対して“山賊”たちが再び襲いかかる。源田は3ボールからの4球目をレフト前にたたいて出塁。続く浅村は初球でセーフティバントの構えを見せると、追い込まれてから投じられたフォークをファウルでしのぎ、6球目のストレートをライト前に弾き返して一、三塁。山川は際どいボールを見極め、四球を選んだ。
9回裏、7対8で無死満塁。筋書きのないドラマはクライマックスを迎えた。打席に入った森が1ボールからの2球目、真ん中に甘く入った速球を振り抜くと、右中間を破る2点タイムリー。甘い球は初球から積極的に打ちに行き、きわどい球はしっかり見極める“山賊打線”は8点ビハインドからサヨナラ勝ちを飾った。
秋山「ファンの力をすごく感じます」
辻監督が率いた西武はこの年、10年ぶりのリーグ優勝に輝いた 【写真は共同】
「まだ4月半ばで全然早いので、1戦1戦という気持ちは変わらないですけど、ひっくり返せるかなというゲームをひっくり返せたり、素晴らしい勢いを感じます。当時とは比べようがないけど、似たような雰囲気を感じますね」
栗山が語ったとおり、この年の西武は首位を突っ走る。その上でターニングポイントになったのが、0対8からの逆転勝利だった。この日本ハム戦で得たものには、1勝以上の価値があった。
投手陣に不安を抱えるなか、どんな展開でも強力打線で打ち勝つことができる。打者陣が打ってくれるから、投手陣は逃げずに攻めていけばいい。ゲームセットの瞬間まで、誰一人あきらめずに戦う――。
10年ぶりにチャンピオンフラッグを手にする日が目前に迫ってきた18年9月27日、8日ぶりに本拠地に戻ってきた試合で2位・福岡ソフトバンクを破ると、秋山は力強く話した。
「ホームに帰ってきてファンの力をすごく感じます。あれだけの声援はなかなかビジターでは受けられないので、心強さもあるし。そういう意味で、ホームはやっぱりいいなと思います」
選手たちはどんなときも最後まであきらめず、足を運んでくれたファンのために精いっぱいの力を尽くす。チームに無償の愛を注ぐファンは、腹の底から声援を送り選手たちを鼓舞する。両者が文字通り一丸となったとき、同じ目的を持って集まった人と人は、一つのチームになることができる――。
新型コロナウイルスの感染拡大で世界中が苦しんでいるなか、改めて思い出したくなるほど重要な意味が、2年前の大逆転劇に凝縮されていた。
【お知らせ】プロ野球復刻試合速報を実施
「スポーツナビ 野球編集部」Twitterアカウントのリプライにていただいた、「あなたの印象に残る試合・思い出の試合」を参考に選出し、近鉄含む13球団の試合とオールスター名試合を復刻いたします。
今回取り上げた「2018年4月18日 埼玉西武vs.北海道日本ハム」は、5月3日(日)13時より速報開始!
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