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苦境でも笑顔で周囲を和ませる三平和司
32歳のリーダーが大分に歓喜をもたらす
32歳になった三平だが、チームリーダーとして、前線のマルチプレーヤーとして今なお大分に不可欠な存在だ。今季はコンディションも良く、2年ぶりの二桁得点も狙える
32歳になった三平だが、チームリーダーとして、前線のマルチプレーヤーとして今なお大分に不可欠な存在だ。今季はコンディションも良く、2年ぶりの二桁得点も狙える【(C)J.LEAGUE】

 三平和司は笑顔を絶やさない。チームが苦境に陥っても、あるいは自身が苦しい立場に置かれたとしても、いつだって飛び切りの明るさで周囲を和ませる。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、先行きが見えない状況にある現在も、それは変わらない。そしてリーグが無事再開されれば、これまでもそうだったように、自らのゴールで大分トリニータに歓喜をもたらしてくれるはずだ。

スタートでつまずくも手応えを感じて

 苦難に直面すると普段以上の力を発揮する――。スターとは、そんな存在だ。


 絶大な人気を誇る大分トリニータのスターは、ピッチではもちろんだが、ピッチを離れた場所でも“陽キャラ”で多くの人を笑顔にできる。2011年の東日本大震災のときも、16年にJ3での戦いを強いられたときも、自身がケガで戦列を離れているときも、常にポジティブで周囲を笑いで和ませたのが三平和司だった。チーム在籍8年目、今季から盟友であり、人気を分け合う松本怜とともにチーム最年長となった。“トリニータ愛”を唱える32歳のリーダーが見据えるものは……。


 今季は初陣のYBCルヴァンカップ・グループステージ初戦(対湘南ベルマーレ)、J1リーグ開幕戦(対セレッソ大阪)といずれも敗れ、ここまで公式戦は2連敗。しかも2試合とも無得点とスタートでつまずいた。どちらの試合も相手の守備を慌てさせた場面は数知れず。逆にピンチの回数は片手で済むほど。相手ゴールに幾度となく襲いかかったがネットを揺らすことはなかった。


 2試合ともベンチスタートとなった三平は、「シュートまでの過程は良かった。狙いとするサイドからの崩しでチャンスを作った。あとは僕を含めて前線の選手が決めるだけ」と振り返った。表情に焦りはなかったのは手応えがあったからなのだろう。

順調な仕上がりだっただけに……

 リーグ開幕戦では出番がなかった三平だが、YBCルヴァンカップでは後半35分からピッチに立つと試合の流れを一気に変えた。トップ下に入り、1トップの知念慶の守備ラインを押し下げる動きと連動して守備ゾーンの切れ目でパスを受け、小気味の良い攻撃を生み出した。


 知念は三平の持ち味をこう表現する。


「攻守のつなぎとして“浮く”のがうまいから一緒にプレーしていてやりやすい」


 DFが寄せ切れない、味方からすればパスを預けやすい場所にフラリと顔を出す。パスを受けるとヒラリと前を向き、突破かパスかシュートかという三択を持って攻撃に推進力をもたらす。湘南戦では得点には至らなかったが、2本のシュートと1本のラストパスで決定機を演出した。


 今季の三平の仕上がりは順調だった。表情はいつも明るいが、「昨年はインフルエンザで出遅れたが、今年は万全。年々、求められることは違うが成長も感じている」と、いつになく充実感を漂わせていた。皮肉にも、新型コロナウイルスの影響でJリーグの延期が続いているのは残念で仕方ない。


 クラブは中断期間中の練習見学やファンサービスの中止を決定。基本的に取材対応もなく、どのようなトレーニングを積んでいるのか分からない状況にあるが、もちろん再開に向けて活動しているのは間違いない。

これまで偶数年に二桁得点。今年は当たり年

 三平のポジションは固定されていないが、ここ数年はトップとその下のシャドーで出場することが多い。いずれも得点、アシストとフィニッシュに関わることが求められる重要なポジションだ。それだけに、クラブは毎年のように補強を行ってきた。今年はトップに知念と渡大生、シャドーに野村直輝、町田也真人が加わり、三平は彼らとポジションを争っている。


 16年に片野坂知宏監督が就任した当初から在籍する三平は常に主力として起用されてきたが、それ以前から毎年のようにアップデートを繰り返して今がある。大分に最初に在籍した11年からの2年間は身体能力の高い、ゴール嗅覚に優れたストライカーだった。


 転機となったのは13年に移籍した京都での2年間かもしれない。戦術眼と技術を磨きチャンスメーカーとしての才能を開花させた。捕捉から逃れるような巧みなポジショニングも京都で磨き上げた。「味方がどこでボールをもらいたいのか、相手がどこでボールを奪いたいのかを見ながら位置をとる」と話す三平は、攻守両局面でいい場所に顔を出せるようになった。15年に大分に戻ってからは前線のマルチプレーヤーとして重宝され続けている。


「チームが勝てばいい」と得点へのこだわりは強くないが、大分では12年に14得点、16年、18年には10得点を記録。偶数年に二桁得点を叩き出してきた三平にとって、今年は当たり年。そのことを伝えると、「そうなんだ。あまり記録にはこだわっていないんで」と興味を示さなかったが、「昨年は勝利インタビューを受けていないし、得点しないと選ばれないからな〜。狙ってみよう」と浮かべた笑みからは自信が読み取れた。


 自らのゴールでチームに勝利を呼び込むイメージは膨らんでいるはずだ。リーグ再開後に、三平節がふんだんに盛り込まれた勝利インタビューを聞くのが今から楽しみだ。


(企画構成:YOJI-GEN)

柚野真也

1974年生まれ。大分市出身のスポーツライターで、プロ、アマ問わず、あらゆるスポーツを幅広く取材する。現在は『オーエス大分スポーツ(https://os-oita.com)』で編集長を務める傍ら、新聞や雑誌、ウェブなど各媒体で執筆する。一般社団法人日本スポーツプレス所属。

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