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同期2人に大きな刺激を受ける富山貴光
大宮のクラブ通算1000ゴール目奪取を宣言
チームのために自分を犠牲にできる富山を、大宮の首脳陣は高く評価する。水戸との今季開幕戦でこぼれ球を詰めて奪った決勝ゴールを、北嶋コーチは「素晴らしいゴール」と称賛
チームのために自分を犠牲にできる富山を、大宮の首脳陣は高く評価する。水戸との今季開幕戦でこぼれ球を詰めて奪った決勝ゴールを、北嶋コーチは「素晴らしいゴール」と称賛【(C)J.LEAGUE】

 同じ1990年生まれで、2013年に大宮アルディージャに同期入団。現在は異なるステージで活躍する2人の存在が、富山貴光にとってのモチベーションの源だ。献身的な守備とゴール前での泥臭さが魅力のストライカーは、スタメンであれ、途中出場であれ、「勝利につながるゴール」を目指す姿勢に変わりはない。

“トミ”だけが知っていたゴール

 Jリーグ公式戦のクラブ通算1000ゴールまで、あと2ゴール。大宮アルディージャのメモリアル弾奪取に名乗りを上げるのは富山貴光だ。


「(与えられるのが)どんな時間でも2点を取ります。1人で稼ぎます。(歴史に)名を刻みたい」


 宣言は、2-1で勝利した水戸ホーリーホックとの今シーズン開幕戦後に飛び出した。よほど決勝点が会心だったのだろう。先制点はオウンゴールだったから、実質チームの今シーズン第1号と言っていい。表情には歓喜の余韻があふれ、いつも以上に滑らかな受け答え。途中出場で勝利を呼び込んだストライカーは、「限られた時間で結果を残せるのがベスト。これからも精進していきたい」と目を輝かせた。


 富山が自信を深めたゴールに、元日本代表FWの北嶋秀朗コーチも「あれはスーパーゴール」と賛辞を惜しまない。1-1の同点で迎えた75分に生まれた勝ち越しゴールは、三門雄大のシュートのこぼれ球に詰めたもの。しっかりとゴール前に走り込み、待ち受けていたことがポイントで、日頃から富山にアドバイスを送る北嶋コーチはこう解説する。


「ボールが来るって思っている、もしくは『GK弾け!』って思いがないと、あそこにはいない。みんなは分かっていないけど、俺だけは分かっている。必然のゴール、素晴らしいゴールだと。あれがストライカーなんです。『おいしいね』って終わらせられるゴールになるけど、絶対にそうではない。シュートがここにくるかもしれないという予測が入ってくる。ああいうゴールが一番興奮するんですよ。“トミ”(富山)だけが知っていたゴール」

2人の元日本代表FWに指導を受けて

 ストライカーの粋が詰まったゴールは、北嶋コーチの現役時代を彷彿(ほうふつ)させる。そして、チームの指揮を執る高木琢也監督も元日本代表FWだ。世界基準を知る2人から指導を受けられる環境に富山は、「すごいところにいるので、結果で応えたい。もっとやらないと。頑張ります」と背筋を伸ばす。


 練習熱心で、前線からの守備もいとわない富山の姿勢を、高木監督は高く評価。前述の水戸戦では「ゴール前で泥臭さを出してほしい」と言ってピッチに送り出し、指揮官の起用にしっかりと応えた。


 現在29歳の富山は2013年、早稲田大から大宮に加入した。16年にサガン鳥栖へ完全移籍し、17年8月にはアルビレックス新潟に期限付き移籍。そして18年、再び大宮に戻ってきた。6年目を迎える通算在籍年数はチームで4番目に長く、ベテランの域にも差しかかる。それだけに今シーズンは、「引っ張っていきます」と例年以上に気合が入っていた。

同期2人と切磋琢磨する関係が続く中で

 意気込みの源は年齢的なものだけでない。大宮に同期入団した今井智基(現ウェスタン・ユナイテッドFC/オーストラリア)、同じ13年の夏に加入した和田拓也(現横浜F・マリノス)の存在も大きいようだ。3人はいずれも1990年生まれ。所属チームがバラバラになった今も、グループを作って近況を報告し合う仲だ。


 今年1月、今井は松本山雅FCとの契約を解消し、海外移籍の道を選んだ。「メロ(今井)から海外に行く、(チームを)探しているって連絡がきて。そうしたらすぐに決まったので、とてもうれしかった」と、富山は自分のことのように喜ぶ。それと同時に、「年齢的にもなかなかチャレンジできなくなる歳だからって。行動力がある」と語り、友の新たな挑戦は大きな励みにもなっているようだ。


 和田は昨シーズン、横浜でJ1優勝を経験。日本のトップリーグの頂点に立った同期の姿を目の当たりにし、「すごく刺激をもらえた」と言葉に熱が帯びる。それぞれ活躍のステージは異なるが、同期2人と切磋琢磨(せっさたくま)する関係が続く中で、モチベーションの面でも相乗効果が生まれている。


「もっと自分も活躍して、(3人が)良い関係性でいられるようにやっていきたい」


 リーグ再開後はスタメン抜擢(ばってき)か、あるいは切り札としての起用か。どんな状況でピッチに立っても、勝利につながるゴールを決められるように――。入団当初から変わらぬ、ひたむきな思い。


 富山はサポーターからの人気も高い。1000ゴール目を決めたなら、祝福の嵐がすごそうだ。その瞬間が見られることを期待しながら、中断期間が明けるのを楽しみに待っていよう。


(企画構成:YOJI-GEN)

松澤明美

埼玉県出身。大学でスポーツ新聞部に所属し、その傍ら女子サッカー部を立ち上げた。卒業後は広告代理店、地方新聞社勤務を経て、心機一転の独立。新聞社では運動部時代の2010年途中から16年まで大宮アルディージャを担当した。フリーランスの記者になってからは、大宮、高校サッカーを中心に取材活動。19年からウェブマガジン『大宮花伝』編集長を務めている。

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