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大型FW林陵平が中断期間中に覚悟の移籍
Jきっての海外通が“群馬のイブラ”に!?
新潟との開幕戦は0-3の完敗。前線の高さ不足が指摘されていた群馬にとって、身長186センチと上背があり、決定力にも秀でた林の加入は、J再開に向けて心強い材料だ
新潟との開幕戦は0-3の完敗。前線の高さ不足が指摘されていた群馬にとって、身長186センチと上背があり、決定力にも秀でた林の加入は、J再開に向けて心強い材料だ【伊藤寿学】

 ジュニア時代から育った東京ヴェルディへの愛着は捨てがたかったが、林陵平は出場機会を求めてシーズン開幕後の期限付き移籍を決断した。プロ12年目の33歳。“ベテラン”と呼ばれることに違和感を覚えるという大型ストライカーは、新天地・ザスパクサツ群馬でのゴール量産を誓う。そう、38歳にして、いまだ輝きを失わないズラタン・イブラヒモビッチ(ACミラン)のように。

過去に3度の二桁得点をマーク

 電撃移籍だった。


 海外サッカーマニアとして知られる男は、崇拝するズラタン・イブラヒモビッチのポスターをバッグに忍ばせて、新天地へとやって来た。


 Jリーグが中断期間中の3月13日、東京ヴェルディの林陵平が、ザスパクサツ群馬へ期限付き移籍することが発表された。J通算65ゴールの大型ストライカーが加わるというニュースは、驚きとともに群馬サポーターのSNSタイムライン上を駆け巡った。


 開幕戦を終えた時点での移籍。前線の高さ不足が懸念されていた群馬にとっては、喉から手が出るほどに欲しかったタイプだ。奥野僚右監督は、「100%をピッチで表現できる頼もしい選手。チームの目標を達成するために必要な戦力と感じた」と、獲得の理由を述べている。


 身長186センチの左利きのストライカー。東京Vの下部組織出身で明治大卒、プロ12年目の33歳。2010年の柏レイソルで10ゴール、13年のモンテディオ山形で12ゴール、17年の水戸ホーリーホックではキャリアハイの14ゴール。過去に3度の二桁得点をマークしている。

「歩く選手名鑑です」と新天地で自己紹介

 18年は東京Vでプレー。戦術家のロティーナ監督(現セレッソ大阪監督)に重宝され、7ゴールと結果を残した。監督が代わった昨シーズンも、22節までに5ゴールを挙げて存在感を示していたが、その後、急激に出番が減少。8月には出場機会を求めてFC町田ゼルビアへレンタル移籍する。


 迎えた20年は再び東京Vで始動したが、昨季末のケガの影響でチームへの合流が遅れていた。そして、コンディションが戻ってきたところで届いたのが、群馬からのオファーだった。林は東京Vで自身が置かれた状況を鑑みて、シーズン開幕後の移籍を決断した。


 東京Vの公式サイトに、林はこんなコメントを寄せている。


「小さい頃から育ったヴェルディをこのような形で去ることはとても残念です。僕の復帰を喜んでくれた方やユニフォームを購入してくれた方達に申し訳ない気持ちでいっぱいです」


 覚悟の移籍だった。


 群馬には3月14日に合流した。自己紹介では「海外サッカーとJリーグの選手名鑑を愛読している“歩く選手名鑑です”」と話して笑いを誘い、早速チームメートの心をつかむ。かつて一緒にプレーした選手も多く、“秒”でチームに溶け込んだ。

ロッカーにイブラのポスターを貼って

 ロッカールームでは、こんな作戦も決行している。雑誌の付録だったイブラヒモビッチのポスターを、自身のロッカースペースに貼ったのだ。


「気持ちを引き締めるために、移籍してきた初日に速攻で貼りました。みんな驚いていましたね。ロッカーに選手のポスターを貼っているのは、Jリーグでも僕くらいだと思います。サッカー少年か、って言われます(笑)」


 イブラヒモビッチ効果は絶大で、練習中にゴールを決めると、若い選手たちから「イブラ!」「ズラタン!」といった声が飛ぶ。それに笑顔で応える林の姿は、とても33歳には見えない。


「この歳になると“ベテラン”と表記されがちですが、違和感があります。世界的にも30代で旬を迎える選手はたくさんいて、時代は変わっています。38歳のイブラヒモビッチが『サッカー選手は年齢を重ねるほどプレーに味が出てくる、ワインのようなものだ』って言っていて、僕もそういう選手になりたいです」


 群馬合流から1週間、トレーニングに汗を流す林からは、サッカーができることへの喜びが伝わってくる。


「ヴェルディで試合に出られなかったからといって、『見返してやろう』という気持ちはまったくないんです。プロというのは国内だけじゃなくて世界でもこういうものですし、『見返す』って言うと雑念が入ってくるので、それよりも自分ができることをしっかりやるだけだと思います。試合に出たい、ゴールを決めたいという気持ちに素直になりたいですし、大事なのは自分に向き合うことだと思っています」


 自分自身とイブラヒモビッチのポスターに向き合いながら、林はJ2再開の時を待つ。


(企画構成:YOJI-GEN)

伊藤寿学

群馬県在住のライター兼エディター。編書に『前育主義』(山田耕介著)。2020年4月に著書『乾坤一擲〜ザスパクサツ群馬 奈良知彦社長人生最後の大勝負〜』を発売予定。ザスパクサツ群馬(当時ザスパ草津)が発足した02年からサッカー取材を開始。県リーグから関東リーグ、関東リーグからJFL、JFLからJ2への昇格をすべて見届ける。現在、『群馬サッカーNEWS Gマガ』編集長を務めるほか、『EL GOLAZO』、『サッカーダイジェスト』などスポーツ媒体を中心に寄稿 。好きな映画は『バック・トゥー・ザ・フューチャー 』、愛読書は『半落ち』(横山秀夫)。

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