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山本由伸が侍ジャパンに不可欠な理由
「柔と剛」を兼ね備えた規格外の投球

一流メジャーリーガーのような投球内容

高卒3年目、21歳にして球界トップの球を身につけた山本由伸。そのポテンシャルは底知れない
高卒3年目、21歳にして球界トップの球を身につけた山本由伸。そのポテンシャルは底知れない【写真は共同】

 平均球速150.9キロのストレート、149.4キロのシュート、145.9キロのカットボール、141.8キロのフォークでピッチトンネルを構成し、そこから外れる120.7キロのカーブで打者の狙いを幻惑する。2019年シーズン、21歳の山本由伸(オリックス)が見せたのは、一流メジャーリーガーのように圧倒的な投球内容だった。


 強い球や動く球を操りながら、鋭く落ちるフォークを振らせ、カーブでタイミングを狂わせる投球スタイルは「柔と剛」を兼ね備えている。高卒3年目にして球界トップの球を身につけた右腕は一体、どんな投手になりたいと見据えているのだろうか。


「完成は見えてないです。完成があるかもわからないです、ちょっと」


 昨季、防御率1.95で自身初の個人タイトルを確定させる少し前、屈託のない笑みを浮かべながらそう話した。

独特なフォームは努力の賜物

 底知れない山本に周囲が衝撃を受けるのは、これまでの投手とは明らかにタイプが異なるからだろう。例えば有名になったのが、槍投げの練習だ。


「槍投げなんですけど、槍投げじゃないというか……。槍投げをうまくできるようになるまでの練習が実はあるんです。準備の過程ですね」


 全身を柔らかく使い、弓矢を発射するようにして強い球を投げていく。独特な投球フォームは、努力の賜物だ。もともと体が柔らかかったわけではないというが、入団1年目のオフ、一緒に自主トレを行った筒香嘉智(レイズ)に刺激を受けてトレーニングに精を出した。


「よく『体が柔らかいね』と言われるけど、本当に鍛えているのは強さなんです」


 体に柔軟性を出し、運動連鎖で力を最大限に生み出していく。柔と剛。山本が両者を備えるのは、必然的なのだ。


 侍ジャパンの主軸候補でもある山川穂高(埼玉西武)は「こんなカットボールを見たことがない」と評したが、山本は実際、「あまり曲げていない」という。一般的な投手のように指で切るように投げるのではなく、独特な軌道の裏には「自分がここまでやってきた動作の練習がある」。全身を使って投げることで鋭く曲げて落とし、打者にとって「見たことがない」変化になるのだ。

五輪の舞台にも高い意欲

 先発もリリーフもできる山本は、東京五輪での選出は確実だ。晴れ舞台に向け、自身も高い意欲を持っている。


「やっぱり普段の試合とは、注目度がまったく違いますよね。野球に興味がない人も見ますし、若いとか年齢層も関係なく、小さい子から見るじゃないですか。注目度が違うということは、野球の魅力を知ってもらうチャンス。そこで『野球選手ってすごいな』って思っていただけるチャンスなので、ぜひその場で自分が活躍したいです」


 勝敗以上のものを背負って上がるマウンドで、規格外の右腕はどんなピッチングを見せるのか。「より上の舞台、高いレベルで野球をしたい」と野望を語る男のピッチングに、東京五輪本番、日本中の視線が注がれる。

【動画予告】山本由伸投手に10の質問

「侍ジャパンには昔から憧れがあった?」「侍ジャパンでは先発をやりたい?」など、山本由伸投手に10の質問を直撃!


フル尺動画は下記リンクよりご覧ください!(スポーツナビアプリ限定)

中島大輔
中島大輔

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた『野球消滅』(新潮新書)。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』がミズノスポーツライター賞の優秀賞。

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