センバツで見たかった15人の注目選手 中京大中京・高橋は「松坂より上」の評価も
ここではセンバツに出場予定だった選手の中から、15名を厳選して、「見たかった注目選手たち」として取り上げてみたい。なお、各選手の太字内成績は、昨秋の公式戦での主な実績を記している。
中京大中京・高橋宏斗(新3年)
高橋は最速148キロの直球に加え、カットボールを織り交ぜた投球術も一級品 【写真は共同】
新チームにおいて最初の全国大会となった、昨秋の明治神宮野球大会の優勝投手。秋の公式戦は12試合に登板。先発した8試合は全て完投し、6完封を果たした。最速148キロの直球にスライダー、カットボールなどを織り交ぜた投球術は一級品。明治神宮大会で対戦し、完敗を喫した明徳義塾の馬淵史郎監督も「真っ直ぐは松坂(大輔、現・埼玉西武)より上。今年(2019年)に見た投手ではナンバーワン」と、本気とも冗談ともとれる口調で話したのは有名だ。ただ、今年の高校日本代表監督に就任した指揮官の言葉となれば、甲子園大会だけでなく、高校JAPANのエース有力候補と言えるだろう。
明石商・中森俊介(新3年)
1年夏から4季連続での甲子園出場を決めていた中森 【写真は共同】
中京大中京の高橋が報道陣用の共通アンケートで「世代ナンバーワンの投手」と対戦してみたい投手として挙げたのが中森。1年夏から4季連続出場を決めていた最速151キロ右腕で、甲子園での経験はどの投手よりも積んでいる。秋は調子が良くないながらも、公式戦41回1/3で奪三振43、与四死球14、防御率1.96と安定感抜群のピッチングを見せた。春から導入される1週間500球以内の投球数制限を早くから意識し、状況によっては早いカウントから打ち取る投球術を身につけてきた。残念ながら春の甲子園では新たなスタイルを披露できなかったが、最後の夏に悲願の全国制覇を目指す。
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花咲徳栄・高森陽生(新3年)
昨夏の甲子園では、明石商との2回戦で同点の7回から登板。先頭打者だった来田涼斗(新3年)に二塁打を浴びたのをきっかけに、決勝点を献上した。その悔しさは、アンケートの対戦したい選手で「来田選手、101回甲子園で打たれたから」と記した言葉に表れている。エースとなった昨秋は6試合40イニングを投げて防御率1.13。被安打率4.05は、出場予定だった主戦投手の中でトップの成績だった。持ち味の制球力と多彩な変化球に磨きをかけ、夏へ向けてさらなる成長に期待したい。
智弁和歌山・小林樹斗(新3年)
明石商へのリベンジに燃える小林 【写真は共同】
打倒・明石商に燃える投手がもう1人いる。昨春のセンバツで最速147キロを計測するなど、注目を集めた小林だ。そのセンバツでは、準々決勝の明石商戦で来田にサヨナラ本塁打を浴びた。アンケートの対戦したい選手の欄には来田と中森の名を挙げ、「91回のセンバツ大会でサヨナラホームランを打たれた。この大会では抑えたい気持ちがあるから」と再戦を願う気持ちを書いた。リベンジに燃える大型右腕は秋に苦しんだ制球難を克服し、夏には150キロを超える直球を披露してくれるだろう。甲子園に限らず、近畿大会でも明石商との再戦を見てみたい。
白樺学園・片山楽生(新3年)
多くのセンバツ出場校監督から注目を浴びた片山 【写真は共同】
明治神宮大会を視察した複数のセンバツ出場校の監督から高評価を受けていたのが、北海道王者のエースで4番の片山。北海道大会では打ち込まれる場面もあったが、神宮では最速142キロの直球を主体に、優れた投球術の一端を見せた。最大の武器はコントロールで、与四死球率0.92は32校の主戦投手の中でトップの数字。四国大会で無四球だった明徳義塾の新地智也(新3年)の与四死球率が1.14だったことからも、片山の数字が際立っていることが分かる。打者としても非凡なスイングを見せ、秋は盗塁も3つ成功させた。小学校2年から6年までスピードスケートをしていたことも、強靭(きょうじん)な脚力につながっているかもしれない。夏の北北海道大会では最注目の選手になりそうだ。
磐城・沖政宗(新3年)
秋の東北大会ベスト8に導いた右腕。防御率0.90は、32校の主戦投手の中で2位(1位は鹿児島城西・前野将輝の0.84)。小学校時代は主に内野手として楽天ジュニアに選ばれ、NPBジュニアトーナメントで3位。中学から本格的に投手を始め、高校では1年秋からベンチ入り。2年秋以降は絶対的エースになった。丁寧なピッチングスタイルが身上で、字の綺麗さにもそれが表れている。3歳から13歳までピアノを習っていたこともあり、指先の強さにも注目したい。
加藤学園・肥沼竣(新3年)
秋の東海大会を1人で投げ抜くなど、公式戦で10完投を果たした鉄腕。140キロに迫る直球を主体に、打者の内角を攻める投球スタイルが武器である。96回2/3と投球回数が多くなりながらも、与四死球23でまとめたコントロールも自慢。アンケートの最も印象的な事柄や思い出の欄に「甲子園出場決定の日」と書いただけに、センバツ中止の無念さは察するに余りある。夏にもう一度甲子園の切符をつかみにいく姿を楽しみにしたい。
天理・達孝太(新2年)
身長192センチで、本人は「まだ伸びている」と話す長身右腕。秋の近畿大会決勝の大阪桐蔭戦で先発し、好投したことで一気にブレーク。最速141キロの角度ある直球は注目を集めた。早くも来秋のドラフト上位候補に名が挙がるが、本人の夢は「トップメジャーリーガー」。トップとつけるところに、目標の高さを感じる。成長次第では、来秋に高卒メジャー挑戦があるかもしれない。
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