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球界の“常識”を覆す、気鋭のトレーナー
「フィジカル&データ革命」は実を結ぶか

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 広島県東広島市でトレーニングジム「Mac's Trainer Room」を主宰する気鋭のトレーナー・高島誠。オフには山岡泰輔(オリックス)や高橋礼(福岡ソフトバンク)が師事し、平日50分の練習でプロ入り選手を生んだ武田高(広島)や古豪復活を遂げた米子東高(鳥取)の飛躍にもひと役買っている。


 前編では山岡や高橋のトレーニングを例に、その教えの一端を紹介したが、後編では新たに構築されつつある野球の“常識”に迫っていく(※敬称略、以下同)。

みんながみんな、山岡の柔らかさは必要ない

山岡泰輔については高校1年の時点で「いつかプロに行くと思っていた」と話す高島誠トレーナー
山岡泰輔については高校1年の時点で「いつかプロに行くと思っていた」と話す高島誠トレーナー【スポーツナビ】

 今やオリックスのエースとなった山岡が瀬戸内高1年の頃、初めて見た印象をトレーナーの高島誠はよく覚えている。


「いつかプロに行くだろうなと思いました。体の柔らかさがあり、それをちゃんと扱える投げ方が身についていた。山岡はもともとの能力が高かったですね」


 股割りをすると、床に上半身がピタッと着くほど柔らかい。そうした身体的特徴は投球時の並進運動の際、まるで飛んでいるかのような躍動感でパワーを生み出していく。だからこそ172センチ、68キロの身体で球速150キロ台を計測できるのだ。


「みんながみんな、山岡のような柔らかさが必要というわけではありません」


 2月1日に開催された「SAJ2020(スポーツアナリティクスジャパン2020)」の講演で高島はそう話した。山岡は飛ぶように投げるから高度な柔らかさを求められる一方、違う投げ方をする投手の場合、一定程度の柔軟性で十分だということだ。

プロ入りした谷岡楓太のケース

オリックスに育成ドラフト2位で入団した谷岡楓太。高校入学時は125キロほどだった速球は、いまや150キロを超えるようになった
オリックスに育成ドラフト2位で入団した谷岡楓太。高校入学時は125キロほどだった速球は、いまや150キロを超えるようになった【写真は共同】

 例えば2019年育成ドラフト2位でオリックスに入団した谷岡楓太は武田高(広島)入学時、股割りをすると肘もつかないレベルだった。


「(武田高の野球部に来た理由?)練習が楽だなと思って」


 武田高は私立の進学校で、平日の練習時間は50分に限られる。仮に野球の才能があり、甲子園やプロを目指す球児なら、進学先に選ぶことはないだろう。


 中学時代に軟式野球チームで最速125キロほどだった谷岡は、上半身の柔らかさがまるでないなか、思い切り腕を振って投げていた。

中島大輔
中島大輔

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた『野球消滅』(新潮新書)。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』がミズノスポーツライター賞の優秀賞。

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