連載:ドライブラインの正体〜最新鋭の野球に迫る〜

バウアーがドライブラインで過ごす日常 「ピッチデザイン」をどう作り上げるか

丹羽政善
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朝食は大型ミキサーで作ったスムージー

MLB通算70勝の実績を持つトレバー・バウアーはオフシーズンにドライブラインへ通う。今回は彼の日常に迫りたい 【Getty Images】

 シアトルからは車で30〜40分ほど。フリーウェイを降りてしばらく走ると、徐々に車線が少なくなり、道の両側に高い木々がそびえる――そんな田舎道をしばらく行くと静かな住宅街が現れ、その一角にトレバー・バウアー(レッズ)が数年前に一棟買いしたタウンハウスがあった。
 
 4軒の家が並び、そのうちの1軒に彼は住む。シーズン中は留守にすることから、一部屋をドライブラインのトレーナーに貸している。

 2階建てで、1階は玄関を入って、手前にリビングルームがあり、奥にダイニングルームとキッチン。そのキッチンに朝の血液検査、心拍数のチェックを終えたバウアーが立つと、「昔は、スクランブルエッグを作ったり、パンを焼いたりしてたんだけど……」と言いながら、大型ミキサーの中にオートミール、卵4つ、ブルーベリー1パック、ラズベリー1パック、ヨーグルト、牛乳などを次々に放り込んでいく。10〜15秒ほどでスムージーが出来上がると、大きなグラスに移して、一気に飲み干した。

「あとは、ミキサーとグラスを洗うだけ。フライパンやお皿を洗う必要もないし、何より、朝食にかける時間を短縮できる」

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 次に大きめのタッパーを取り出したバウアーは、毎週金曜日に配達されるという調理済みの食料を詰めていく。

 大きな食材はナイフで小さく切って入れていたが、「俺がナイフを持っているところを見ると、みんな心配するんだよ」と、2016年のポストシーズンにドローンの羽根で右手小指を切ってしまったこと自虐的にほのめかしたが、「これは練習後の食事。すべてオーガニックだ」と続けた。

 それをドライブラインで練習をした後、電子レンジで温めて食べるという。ランチバッグの中にはピーマンなどもそのまま入れ、ドレッシングなどもつけず、りんごのように丸かじりする。

 ちなみに食後は、食べたものをすべてアプリに入力。その都度カロリーを計算して、足りなければ、夕食などで補う。

「その日の運動量によっても必要な量が変わってくるから、最後に調整する感じかな」

オフでもきっちり組まれるスケジュール

自宅リビングで朝のストレッチを行うバウアー 【丹羽政善】

 さて、年が明けてから、NHKBSの番組でバウアーの生活に1週間ほど密着した。まだ放送前なのであまり詳しくは触れられないが、オフのライフスタイルは万事がそんな調子。

 練習スケジュールに関しても、かなり先まできっちり組まれていた。例えば、密着をするにあたって、彼の映像制作会社『モメンタム』でビジネスパートナーを務めるタイキ・グリーンからもらった、1月のとある1日はこんな感じ。
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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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