連載:プエルトリコ野球から学ぶヒント

なぜ日本人打者は“動く球”に苦しむのか T-岡田、安田尚憲が異国で感じた攻略法

中島大輔
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絶対的にゴロアウトにされる球

ソフトバンクで飛躍を期待される20歳の三森大貴はプエルトリコで課題に直面 【撮影:龍フェルケル】

「最初はバットに当たりませんでした。球自体は見えているのに。こっちのピッチャーのボールはすごく難しいなっていうイメージを持っています」

 高卒3年目の2019年に福岡ソフトバンクで1軍デビューを飾り、シーズンオフに派遣されたプエルトリコ・ウインターリーグのヒガンテス・デ・カロリーナで42打数5安打、打率.119に沈んだ三森大貴はそう話した。

 三森だけではない。今季、当地のウインターリーグでプレーした4人の日本人打者はなかなか快音を響かせることができなかった。

 2010年にパ・リーグで本塁打王に輝いたT-岡田(オリックス)は57打数11安打で打率.193。高い身体能力を誇る岡大海(千葉ロッテ)は10打数無安打に終わり、1カ月もたたずにロースター外(登録外)となっている。

 唯一好成績を挙げたのが2020年のブレーク候補と期待される安田尚憲(ロッテ)で、43打数15安打で打率.349。しかし、この高打率には“カラクリ”がある。

「日本人ピッチャーから打っていることが多くて、プエルトリコのピッチャーは打てていないことが多いんです」

 日本人投手には13打数9安打で打率.692だった一方、外国人投手には30打数6安打で打率.200に抑えられた。

日本で過去2年続けて苦しんだT−岡田はプエルトリコで復調のヒントを発見 【撮影:龍フェルケル】

「こっちはボールが動くじゃないですか。自分が目で見て『ここや』と思って振りにいっても、動くことによって絶対的にゴロアウトになる」

 T-岡田がそう話したように、カリブ海の異国で4人の日本人打者が苦しめられたのはツーシームやカットボール、チェンジアップという“動くボール”だった。

 国際大会のたびに課題に挙がり、日本人打者にとって「天敵」とも言える“動くボール”。毎回指摘される改題にもかかわらず、なぜ、一向に解決できないのだろうか──。
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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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