第96回箱根駅伝

「4代目・山の神」の座は譲らない!
国学院大・浦野と法政大・青木のプライド

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「4代目山の神」を目指す国学院大・浦野(写真左)と法政大・青木
「4代目山の神」を目指す国学院大・浦野(写真左)と法政大・青木【写真:アフロスポーツ】

 標高約40メートルの小田原中継所から、同874メートルの国道1号線最高点まで駆け上がる山上りの5区は、言わずと知れた箱根駅伝の最難関区間だ。ライバルを超えるため「初代・山の神」今井正人が残した記録に挑む、前回の区間賞・浦野雄平(国学院大4年)。故障した仲間のために区間賞の奪還を誓う、前々回のタイトルホルダー・青木涼真(法政大4年)。箱根の山を舞台に、新旧王者のプライドがぶつかり合う。

“山の神に最も近い男”のさらなる進化

国学院大をけん引する浦野雄平
国学院大をけん引する浦野雄平【水上俊介】

「誰かに負けたくないと思って競技を続けてきたわけではありません。もっと力をつけたくて、がむしゃらになってやってきたんです」


 そう話すのは、今季の箱根駅伝で「山の神」に最も近いと言われる浦野雄平だ。チームメイトの土方英和(4年)から「なんでもできる」と評される男は、国学院大記録を次々と塗り替えてきた。


 大学2年時に20キロで58分44秒、大学3年時にハーフで1時間2分02秒。今季は5000メートルで13分45秒94、1万メートルでも28分25秒45をマークしている。


 箱根駅伝でもマルチな能力を発揮した。1年時は山下りの6区を任され、2年時は1区で区間2位。前回は初めて山上りの5区に挑むと、1時間10分54秒で走破。従来の区間記録を50秒も短縮して、区間賞を獲得した。


 一躍注目を浴びるようになった浦野だが、最近は強く意識しているランナーがいるという。前回の箱根駅伝4区で区間記録を1分半近く塗り替えた相澤晃(東洋大4年)だ。

「前回の箱根はお互い区間記録となりましたが、相澤君は旧4区の藤田(敦史、現・駒澤大コーチ)さんの記録も超えたので、本当にすごい。“学生長距離界のエース”と呼ばれる彼と勝負してみたいという思いが強くなったんです」


 箱根4区、5区の“区間記録保持者対決”は、3月の学生ハーフで実現した。浦野は故障明けの状態だったが、ライバル目がけて果敢に攻め込んだ。


「練習がうまく積めていなかったこともあり、相澤君に主導権を握らせたくなかったんです。相澤君が前で走るなら、僕も前に出て、同じ土俵で戦いました。ユニバーシアードの代表よりも相澤君のことを意識してしまい、余計な力を使ってしまいました」


 3位までがユニバーシアード代表となるレースで浦野は5位に終わったが、「僕は積極的にレースを引っ張るタイプではなかったんですけど、学生ハーフを機に変わりました」。相澤とのレースが、浦野のさらなる進化につながった。

酒井政人

1977年愛知県生まれ。東農大1年時に箱根駅伝10区に出場。陸上競技・ランニングを中心に取材。現在は、『月刊陸上競技』やビジネス媒体など様々なメディアで執筆中。『箱根駅伝ノート』(ベストセラーズ)など著書多数。