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「再来週からスペインに行きませんか?」
ラ・リーガ探訪記(1)

ラ・リーガのデジタル戦略を知る

到着したその夜に早速プレゼンテーション開催。COOホリス・エベルス氏が熱く語った
到着したその夜に早速プレゼンテーション開催。COOホリス・エベルス氏が熱く語った【写真提供:LaLiga】

 それは、あまりにも突然すぎるオファーだった。


 詳細を聞けば、ラ・リーガが世界中のメディアを対象に開催するメディアツアーに、スポーツナビが選ばれたとのこと。入念に準備されたツアースケジュールとともに、交通費・ホテル代も含めて、すべてがラ・リーガ持ち。そして、最終日には、あのマドリ―ダービー生観戦が控えている……。多くの仕事を先輩、後輩に押し付ける算段とともに、「行きます!」と答えるまで、時間はかからなかった。


 スペインに到着した24日(現地時間)夜から、早速ツアーは始まった。他のツアーメンバーは、中国、インドネシア、インドといったアジア勢とともに、米国やブラジル、英国にロシア等が続き、12、3人ほど。飛び交うスペイン語と英語に何とか食いついていく日々が始まった。

デジタル戦略について説明するダニエル・ビセンテ氏(右)
デジタル戦略について説明するダニエル・ビセンテ氏(右)【写真提供:LaLiga】

 初日は、ラ・リーガから、リーグの現状及びデジタル戦略と、クラブでの実例も踏まえたプレゼンテーション。COOホリス・エベルス氏による熱の入ったプレゼンテーションでは、ラ・リーガがいかにコンペテティブで、未来のあるリーグであるかが、語られた。


 ラ・リーガの競技レベルの高さに疑いの余地はないだろう。自国リーグでの戦いのみならず、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグとともに、安定した実績を残している。収益についても、以前は、各クラブが独自で契約していた放映権を一括管理に変更。交渉がしやすくなったことで、着実に売上が向上し、各クラブもその恩恵をあずかることになった。最近は、アジア市場を意識した柔軟な試合開始時間となっているが、今後もこの流れは加速しそうだ。


 ラ・リーガによるプレゼンテーションにおいて、多くの時間が割かれたのが、デジタル戦略についてだった。大別すると、「SNSによるグローバルマーケティング」と「データ利活用」になる。まず、前者では、ラ・リーガでは下図のようなSNS展開を行っている。

ラ・リーガが世界で展開するSNSマーケティング。中国での定番SNSが目立つ
ラ・リーガが世界で展開するSNSマーケティング。中国での定番SNSが目立つ【写真提供:LaLiga】

「WEIBO」や「WECHAT」といった中国で定番のSNSから、急成長を続ける「Douyin」「TOUTIAO」をフォロー。ラ・リーガでは、世界中に10のオフィスを設けているが、うち5つはアジア(中国×2、インド、シンガポール、UAE)。アジア、特に中国に対するマーケティングの熱の高さがうかがえ、精力的な動きを見せている。

レアル、バルサは参画していない…

データを活用すべく、リーグ主導のシステムを各クラブに提供するが、レアル・マドリ―とバルセロナは参画していない
データを活用すべく、リーグ主導のシステムを各クラブに提供するが、レアル・マドリ―とバルセロナは参画していない【写真提供:LaLiga】

 一方で、「データ利活用」について。ラ・リーガの総観客数は年々着実に増え、2018−19シーズンでは、1480万人となった。リーグとしては、この動きをさらに加速させようと、リーグが準備したシステムの提供を、各クラブに行っている。


 サポーター一人ひとりが、公式アプリ等で作成するIDをキーとして、コンテンツの閲覧内容やチケット、公式ショップでの購買データまで、取得できるさまざまなデータを駆使し、それぞれに向けたサービスの提供、マーケティングの実施を行っているのだ。


 そして、リーグ側も全面的にバックアップし、クラブ側の努力を促す活動を行っていることも重要な点であろう。システムの開発をリーグ側が主導することで、各クラブの負担も減り、本来の業務に徹しやすくなる。また、各クラブに集まったデータをリーグ側が管理できることも大きなメリットだ。


 ただ、このプレゼンテーションには、やや「オチ」もあった。このシステムにリーガ1部、2部大半のクラブが参画しているものの、レアルマドリ―やバルセロナといったビッグクラブは参画していないというのである。方向性の違い、と言えばそれまでだが、リーグ、ビッグクラブ間の多少の距離感が感じられる一例であった。

言葉は…スポーツがつないでくれた

 夜22時過ぎまで続いたプレゼンテーションも無事終了し、次はおいしいワインを飲みながら第2ラウンド。


 不安だった言葉に関しては、スポーツがすべてをつないでくれた。英国人記者とは、ラグビーワールドカップ(W杯)の話で盛り上がり(英国人、ビール飲みすぎ)、ロシア人記者とは、なぜかバスケットボールW杯の話をしていた(ちなみに、彼は田臥勇太が今でもお気に入りのようだ)。ブラジル人記者とは、中村俊輔のFKの素晴らしさについて話し、2002年サッカーW杯で来日したアラブ人の記者は大敗の記憶(サウジアラビアがドイツに0‐8と大敗)を語ってくれた。


 楽しい宴が終了したのは24時半も過ぎたところ。覚悟はしていたが、スペイン人の夜はやはり深いようだ。


 長いフライトの到着日からハードスケジュールをこなしたことで、早くも疲労はピークだが、この後もイベントは控えている。また、現地からイベントの様子をリポートしたい。


(取材・文:大迫拓郎/スポーツナビ)

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