健太トーキョーのフィジカル革命――
躍進を陰で支えるふたりのキーマン

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フィジカルコーチの吉道公一朗(左)とコンディショニングアドバイザーの上松大輔(右)。タフでハードな健太トーキョーを下支えする影のキーマンだ
フィジカルコーチの吉道公一朗(左)とコンディショニングアドバイザーの上松大輔(右)。タフでハードな健太トーキョーを下支えする影のキーマンだ【新井賢一】

 タフで、ハード――。長谷川健太監督率いるFC東京のサッカーをイメージした時、そんな「強さ」を連想させるフレーズが最初に浮かぶ。攻守に要求されるのは、個々のプレー強度の高さ。選手にかかる負荷は非常に大きい。一方で、今季の優勝争いをけん引するチームは、ある確かな手応えを得ている。「主力に長期離脱者が少ないことが大きい」と実感を込めて話すのは、キャプテンの東慶悟だ。激しいプレーを繰り返しているにもかかわらず、選手たちのテンションは常に高い。


 気丈で、頑丈な戦う集団“健太スタイル”を支える、影の存在。浮かび上がったのはふたりのキーマンだ。フィジカルコーチを務める吉道公一朗、そしてコンディショニングアドバイザーの肩書きを持つ上松大輔。両者の言葉から、好調の要因が透けて見えてきた。

基本理念は「量より強度と質」

吉道コーチがメニューを組むFC東京の練習で特徴的なのが時間の短さ。暑い夏場には1時間に満たないことも
吉道コーチがメニューを組むFC東京の練習で特徴的なのが時間の短さ。暑い夏場には1時間に満たないことも【新井賢一】

 ガンバ大阪のアカデミーやトップチームでトレーナーを務めていた吉道公一朗が、同クラブのフィジカルコーチに就任したのが2012年。その翌年に長谷川が監督として大阪にやってきた。同年にJ2優勝、そしてJ1に返り咲いた翌14年に3冠(J1リーグ戦、リーグカップ、天皇杯)という偉業を成し遂げたG大阪を、吉道は縁の下で支え続けた。


 18年、長谷川監督の要請に応じて一緒にFC東京へ。新天地2年目の現在、日々のトレーニングで鍛える選手たちが高いパフォーマンスを見せ、チームは首位を快走する。


 長谷川監督の哲学を、練習メニューに落とし込み具現化する役割を担う。特徴的なのは、まず練習時間が短いこと。特に夏場は1時間に満たないこともある。さらにシーズン前のキャンプを含め、素走りをしない。すべてのメニューがボールを使って展開されていく。


 そこには「量より、強度と質」と自信を持って言える、彼の理念がある。


「素走りやインターバル走で時間を使うよりも、ボールトレーニングに費やした方が技術や戦術理解力、判断力が上がるのがサッカーです。あくまでその中に身体に刺激を与えるメニューを入れるのが一番いいと思います。サイズ感(使うエリアの広さや対人選手の数など)やルールを変えたり、僕らがひと工夫、ふた工夫することでメニューを効率化でき、時間も短縮できる。もちろん短くすることでプレーの強度は高くなる。メリットしかないと思っています」


 タフでハードな“健太スタイル”。そのサッカーに長く携わってきた吉道はある部分を強調する。


「特にスプリント回数は重要な部分だと考えています。昨年も年間を通してリーグトップの数字を残したと思いますが、毎試合コンスタントに高い数字を残せるようにすること、それが年間を通して続ける我々の最大のタスクだと思っています。監督からはかなりプレッシャーがかかっていますけど」


 そう笑いながら、一言付け加えることも忘れない。


「厳しい監督であるのは間違いないですが、トレーニングの負荷に関しては僕の意見もかなりくんでもらっています。フィジカルコーチの観点から練習メニューを調節することができるのは非常にありがたいですね」

西川結城

サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」にて07年より名古屋グランパス担当を務め、現在日本代表で活躍する本田圭佑や吉田麻也を早くから取材する。今年13年から川崎フロンターレ担当に。現在はJリーグから日本代表、海外を包含した幅広い取材活動をベースに、サッカー、スポーツ専門誌に幅広く寄稿、情報提供を行っている。対象に鋭く切り込む取材力に定評あり。

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