連載:ドラフト注目の大学生候補たち

明治大で「人間力」を身に付けた森下暢仁 プロの世界で子供たちの手本となる投手へ

瀬川ふみ子
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高校時代も「ドラフト候補」と呼ばれるも明治大学へ進学。大学4年間で心身ともに成長を遂げた森下暢仁に、ドラフト会議直前の心境を語ってもらった 【写真は共同】

 佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)とともに今秋のドラフト1位候補として名前が挙がる大学球界ナンバーワン投手・森下暢仁(明治大)。高校時代も日本代表に選ばれドラフト上位候補と言われながら大学進学。進学した明治大で着々と力をつけ、最終学年である今年はキャプテンとして大学日本一、さらに日本代表の主戦として日米大学野球優勝にも貢献した。大学での4年間を振り返ってもらうとともに、ドラフト会議、プロへ向けての思いを聞いた。

「高校ドラフト候補」森下が明大進学を決めた理由

生まれも育ちも大分の森下。U-18日本代表では小笠原慎之介らとプレーした 【瀬川ふみ子】

――大分商業高校時代からドラフト候補として名前も挙がっていましたが、プロを意識したのはいつごろですか?

 高校2年のとき、1学年上の笠谷俊介さんがソフトバンクに4位指名され、「このぐらい投げられればプロにいけるんだ」「自分も笠谷さんのようにプロになりたい!」と意識し始めました。それから自分も“ドラフト候補”と言っていただけるようになり、高校からプロに行きたいなと思うようになりました。

――生まれも育ちも大分。どんな高校時代でしたか?

 ほんとに田舎で育って、野球のこともほとんど分かっていなくて、中学から高校に行くとき、「とりあえず野球は続けようかな」と、地元の大分商に行きました。入学しても、どの大会で勝ったら甲子園に行けるとか分からないぐらい無知で……(笑)。1年夏、先輩たちが夏の大分大会で優勝して、気が付いたら自分も先輩たちについて甲子園に行っていました。「これがテレビで見ていた甲子園か」と。

 でも、自分が投げる機会はなく終わり、「またみんなで甲子園に行きたいな」と思って頑張りましたが、2年、3年とも行けず……。とくに3年夏は、大分大会決勝で(明豊に)0対1で負けて行けなかったので、すごく悔しかったです。

――そんな中、U-18日本代表に選出され、後に高卒でドラフト指名される選手たちとともに甲子園でプレーしました。

 選ばれるかも……とは聞いていたのですが、本当に話がきて「あ、ほんとに選ばれちゃった!」とビックリ(笑)。いざ、行ってみたら、小笠原慎之介(東海大相模−中日)や成田翔(秋田商−ロッテ)ら甲子園で活躍していた選手たちがいっぱいいて、レベルの高さにまず圧倒されました。でも、そんな中の大学日本代表との壮行試合、甲子園で投げられたことはうれしかったのですが、1イニングで3失点(被安打3、与四球2、奪三振1)。さらにレベルの高さを感じました。

――その後、大阪で行われた「第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」では3試合で10イニングを投げて失点はゼロ。初めての国際舞台はいかがでしたか?

 まず、こんなにもレベルが高いんだと感じました。日本の仲間たちも、世界の選手たちも。そんな中、10イニング無失点という結果ではあったんですが、慎之介や世那(佐藤/仙台育英−オリックス−横浜球友クラブ)らが強豪国相手に投げている中、自分はチェコとかあまり力のない相手との試合での登板で……。気を遣って登板させてもらっていたんだなと、後から気付きました。でも、あの約2週間で、今まで分からなかった世界を体感でき、横のつながりもできて、とても良い経験をさせていただきました。

――でも、プロ志望届は出さず、明治大学へ進学しました。どういう気持ちの変化があったのですか?
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