バスケ日本代表のW杯惨敗を徹底検証 東京五輪までに解消できる課題はどこだ?
大会中に立て直しができなかった日本
日本は3連敗で1次ラウンドを終え下位グループに回ったが、その後も立て直しを果たせなかった 【Getty Images】
馬場雄大(アルバルク東京)は敗因をこう説明する。
「最初からガツガツと当たられたことが、最後の場面でボディブローのように効いてしまった。40分間を通してハードに戦えず、少しずつ点差を離されてしまった」
日本は3連敗で1次ラウンドを終え、下位グループに回っていた。それでも30点差で敗れた7日のニュージーランド戦を含めて、立て直しを果たせなかった。
八村塁(ワシントン・ウィザーズ)、篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)の離脱は大きなアクシデントだった。ただし大会日程が進めばどうしても負傷者は出るし、決してハプニングではない。中1日の連戦が続く中で、選手には大きな負荷が掛かっていた。
八村はルーキーシーズンに向けた大切な準備がこれからあるし、そもそもNBAでは新人の代表参加自体が珍しい。本人の意思、そして日本バスケットボール協会とクラブの連携があったからこそ、彼は19年夏に代表でプレーできた。一方で東京五輪を前にウィザーズとの信頼関係を崩すわけにはいかない。膝の状態が万全でなく、疲労のたまった彼をクラブに返すのは妥当な決断だった。
攻撃スタイルの不安定さと3Pシュートの低迷
テンポを落とす攻撃スタイルを志向していた日本だが、速い攻めと遅い攻めで狙いが行き来した 【Getty Images】
一般論で考えると、高さを武器にできないチームは、走り合いと3Pシュートに活路を見いだすのが常識だ。しかしラマスジャパンは違った。大会前から1次ラウンドにかけて、テンポを落とすスタイルを志向していた。
Bリーグの外国籍選手のオン・ザ・コート(起用制限)ルールが変わった昨季に限れば、重量級センターを押し立てた「遅いバスケ」が躍進した。とはいえBリーグは本来、千葉ジェッツが代表するような、速攻志向のチームが多い。
一方で世界レベルに来ると、速攻に持ち込んでもイージーショットまで持ち込めることはほぼない。守備のローテーションが外の対応を緩めることもない。
速攻を自重する理由について、大会前の篠山主将はこう説明していた。
「走ってばかりでやっていても仕方ないし、いかに相手にDFを長い時間させるかが大切になる。打ち合いにせず、ハーフコートゲームでじわじわ我慢しながらついていって、スキが出てきたところで雄大や雄太に走らせる。そういったバランスは必要かなと思います。良いシュートが見つかるまでプレーをやめない。ピック&ロールを続ける。一つ目がダメでも二つ目、二つ目がダメでも三つ目とやり続けることで、しっかりチャンスを見つけたいとコーチはいつも言っている。24秒を使ってノーマークを見つけていけるかが、ポイントなのかなと思います」
今はビッグマンも含めた大半の選手が3Pシュートを当たり前に打つ時代になった。その結果として3Pシュートを徹底的に潰す防御システムが普及し、2メートル級のビッグマンがスイッチして外に出てくる。
またゴール下から外に開いたパスと、横にスライドしたパスではシュートの打ちやすさが違う。ボールをうまく動かせず、悪い体勢から狙う3Pシュートは、自らの首を絞めるものとなりかねない。
前提となるポゼション数の差もあるが、日本は3Pシュートの試投数も5試合すべてで相手を下回った。そして3Pシュートの成功率も5試合通算で28.7%と低迷した。前後左右上下の「ズレ」を作れず、仮に打っても際どい状態で打っていたからだろう。
篠山は大会前にこう述べていた。
「良いリズムでシュートにいければ、オフェンスリバウンドにいきやすいし、セーフティーに(守備へ)戻りやすい。相手にブレークを出されにくいオフェンスの終わり方はある」