堀口恭司、敗れても変わらぬ精神と思考 考えないこと、自分から対応していくこと

長谷川亮

朝倉との再戦は「少し体調を整えてから」

朝倉とは「すぐに再戦したい」としつつも、古傷や脳へのダメージを見て、「もう少し体調を整えてから」と話す 【写真:中原義史】

――対戦直後は試合の記憶がないということでしたが、後で見直していかがでしょうか。

 カウンターをもらった時は全然覚えていないので、何が何だか分からなかったです。けれど、映像を見てこのタイミングでこういうパンチを出したのは狙って出したものだし、スゴいなと思いました。「そこまで研究されているんだな」って。だから自分もこれからの戦いはそういう研究をされていくと思うので、もうちょっと考えないとな、というのはありますよね。

――周りの人たち、たとえばマイク・ブラウンコーチはどう言われていましたか?

 マイク・ブラウンもいろんな選手のセコンドについて、勝つ選手も負ける選手もいろいろ見ているので、“そんな気にするな、次やるぞ”みたいなノリです。

 自分もそんなクヨクヨしたってしょうがないし、ほんと悔しいですけど、そこを考えるよりは次どうやって勝つか、なんで負けたのかを研究して次につなげるということですかね。まだ全然終わりじゃないし。

――負けてしまったことでいろいろな声も届いているかと思いますが、そういう声は耳に入れない?

 ツイッターとかでも見たりしますけど、そんなの「ありがとう、盛り上がるんで(大丈夫)」みたいなノリなので。別に「あぁ……」とかはならないですね。「ありがとう、何でも言ってくれ。次勝つから見てろよ」みたいな感じです。

――あまりそういったことで落ち込むことはない?

 まぁ落ち込むことはありますけど、落ち込んでいてもしょうがないので「次行くしかないでしょ」という感じです。

 いや、基本アホなのであまり落ち込まないかもしれないですね(笑)。自分、前しか見ていないので。常にもう前にだけ走っていくような感じです。「あの時ああしておけばよかった、こうしておけばよかった」とか、後悔とかそういうのはないので。

――朝倉選手とはすぐに再戦したいと言われていましたが、いかがですか。

 そうですね、すぐに再戦したいです。でも体は全然大丈夫ですけど、古傷がちょっとあって、脳のダメージもあるので、少し体調を整えてからという感じですかね。今回は自分が絶対勝つみたいに言われていたのに負けて、そうやって絶対はないし、KO負けも初めてだったので、こういう世界もあるのかと。だからより面白くなりました。

失敗を明確にして、次につなげる思考法

「落ち込んでるみたいな感じでみんな言ってますけど、全く落ち込んでいないですから」。常に明るく、笑顔でわれわれに接していた 【写真:中原義史】

――人間誰しも失敗をする訳ですが、その時の乗り越え方・対応の仕方について、堀口選手なりのアドバイスをお願いします。

 あまり気にしてもしょうがないですけど、なんでその失敗をしたかは考えた方がいいですよね。自分は研究されて動きが読まれていた。じゃあ次はどうすべきなのか。会社に行って仕事をしている人の失敗でも何か理由があると思うので、そこを明確にして次につなげれば結果はついてくると思います。

――今日は取材前気掛かりでしたが、いつもと変わらぬ堀口選手の元気な声を聞けてよかったです。

 なんか落ち込んでるみたいな感じでみんな言ってますけど、全く落ち込んでいないですから。勝負事なのでそういうこともあります。やっぱり考えてもしょうがないところを考えても。なんか、みんな考えてしょうがないところをいっぱい考えますけど、そこはいらないじゃんって(笑)。それぐらい単純に考えた方が自分はいいと思います。

――今日は堀口選手の精神的な強さにも触れられた気がしました。それでは最後にファンの人たちへのメッセージをお願いします。

 ファンの方のほうが落ち込んでいると思うので、自分は全然落ち込んでいないし大丈夫です。またしっかり次勝つので、みんなで格闘技を盛り上げましょう。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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