【RIZIN】堀口恭司、那須川攻略の糸口が「見えた」 “いつも通り”で迎える今年最大の大勝負

長谷川亮

空手スタイルで臨む“神童”との大一番

公開練習を行った堀口恭司。那須川天心との注目の一戦へ、今の心境を明かした 【写真:チナスキー】

「RIZIN.13」(30日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)で那須川天心と今年最大の注目試合に臨む堀口恭司が27日、都内で公開練習を行った。

 3分1Rのシャドーを披露した堀口は、オーソドックス中心ながら時おりサウスポーにも変わって技を繰り出し、ハイキック、跳びヒザと大技も織り交ぜ、タックルやテイクダウンへの動きがない以外はいつも通り軽快な動きを見せた。

 所属するアメリカン・トップチーム(フロリダ)でキックボクシングを中心に練習を行ってきた堀口だが、「空手をベースにしてMMA(総合格闘技)の立ち技をやる」と断言し、キックボクシング流の戦いをする気はないという。対戦相手の那須川に関してはストレートや回転技の当て勘のよさを語り、これを警戒したいとした。

 2014年7月のデビューから立ち技・MMA・ミックスルールを合わせて無敗の31連勝で“完全無欠”とも思える那須川だが、攻略の糸口が「見えました」と堀口は言い、そこを突けば「自分が勝ちます」と淡々と語る。対戦へ向け特別な技を用意したと伝えられる那須川に対し堀口は、「(自分は)ないです(苦笑)。いつも通りです」と回答。大勝負で、かつ相手の土俵に上がっての一戦となるが、過度の意識や力みを感じさせなかった。

 MMAファイターが立ち技に挑む試合ではローキックのダメージが蓄積され敗れるケースが少なくないが、「自分は距離が遠いので大丈夫。予想していない」と堀口は話し、「タイミングを見ながらKOを狙う」「パンチなりキックなりで(KOの)イメージはできている」と“神童”との一戦を前にしても、「どんな選手でも穴はあるし、クセがあると思っている」と、その存在を大きく捉え過ぎてはいなかった。

「タックルや寝技がない分、空手のスタイルを出していこうかなと思います。心境はいつも通りです」

2つの思いを胸にリングへ

“神童”との一戦にも「いつも通り」と落ち着いている 【写真:チナスキー】

 しかし、18日にMMAの師であった山本“KID”徳郁が死去。堀口は7月にも空手の師である二瓶弘宇氏を亡くしており、悲報が相次ぐ中での一戦となる。

「2人の師匠を亡くして心に来るものはありますけど、そこは割り切ってやらないといけないと思ってます。(KIDの死を)SNSに書いていないのはそういうのは見せびらかすものじゃないというか、心で思っておけばいいと思っているので上げていません」

 KIDに最後に会ったのは約1年前とのことで、「何かアドバイスを聞いても、『いいじゃん』『恭司いいじゃん、いいよ』ぐらいしか言わないで、それが残ってます。『こうだよ』って決めつけない人でした」と思い出を語り、師をしのんだ。

 今回の那須川戦はかつてKIDが魔裟斗に呼び掛け、14年大みそかに実現した一戦(K−1ルール)とシチュエーションが酷似している。

「(あの試合を)超えたいというか、憧れですよね。自分もそうやって日本を盛り上げる選手になりたい、という思いがありました」

 RIZIN復帰の理由とした「日本を盛り上げるため」、そして急逝した師・KIDへの思い。その2つを胸に堀口は那須川戦のリングへ向かう。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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