バスケ日本代表がW杯で腕試し 個性豊かな過去最強チームが格上に挑む

大島和人

個性が光る日本の選手たち

得点力に長ける比江島慎は、これまでも幾度となくチームを救ってきた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 比江島慎(宇都宮ブレックス)はビッグ3の合流前には代表のエース格だった。190センチ・88キロのシューティングガード(SG)で、細かいフェイクを駆使した独特のステップは世界レベル。得点力が高く、相手が寄ってきたらドライブ、パスでその逆を突ける。

 竹内譲次(A東京/PF)はファジーカス、八村に並ぶインサイドの核。06年のW杯にも出場している34歳で、209センチ・98キロのビッグマンだ。技術と判断力に優れた彼はいぶし銀タイプで、周りの強みを引き出せるタイプ。30歳を過ぎてからの「成長」はめざましく、アジア予選でも大きな存在感を見せていた。

 ウイング(SF/SG)のポジションで台頭しているのが馬場雄大(A東京)だ。八村と同じ富山市立奥田中の出身で、父・敏春氏もバスケの元日本代表。198センチ・90キロの体格と恵まれたアスリート性を持つ。速攻からのダンクは彼の十八番だ。

馬場雄大はその身体能力の高さを生かし、速攻からのダンクを得意とする 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 馬場はこの7月にNBAサマーリーグへ参加した。契約は得られなかったものの、英語でのコミュニケーションも含めて評価を上げ、何より今後につながる経験を積んだ。直近の代表戦でもゴール下に切れ込む思い切り、物怖じしないコンタクトプレーと、米国で得た経験を生かしていた。

 マイナス要素は司令塔・富樫勇樹(千葉ジェッツ)の負傷欠場だ。彼は安定したボール運び、パスでチームメートの強みを引き出していた。しかしポイントガード(PG)での起用が想定されるキャプテンの篠山竜青(川崎)、194センチの田中大貴(A東京)も富樫にない強みを持っている。

チャレンジャー精神でどこまでやれるか

FIBAランク48位の日本にとってW杯の参加国は格上となるだけに、悔いのない戦いを見せてほしい 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 W杯本大会には世界から32カ国が参加。アジアからは開催国の中国も含めて7カ国が出場する。1次ラウンドは4チームずつ8グループに分かれて、リーグ戦に挑む。

 仮に下位グループに回ったとしても、最低5試合を戦うことができる。2次ラウンドは各組を上位グループ、下位グループの2チームに分けて行われる。アジア予選と同じく「1次ラウンドで対戦していない相手」と対戦する方式だ。1次ラウンド、2次ラウンドの合計成績が決勝トーナメントへの勝ち上がりや、9位以下の最終順位に反映される。

 日本のFIBAランクは現在48位(19年2月26日発表時点)。男子バスケの世界ランクは毎年2月に発表され、サッカーのような1カ月ごとの更新はない。また過去8年間の成績を反映して算出するため、この2年の躍進が十分に反映されていない部分はある。

 とはいえW杯の参加国は基本的に格上で、日本がチャレンジャーだ。9月1日に対戦するトルコは17位、3日に対戦するチェコは24位と明らかに手強い。

 トルコはフルカン・コルクマズ(SG/SF、フィラデルフィア・76ers)、セディ・オスマン(SF、クリーブランド・キャバリアーズ)、エルサン・イルヤソバ(PF、ミルウォーキー・バックス)と現役NBAプレーヤーを擁し、直近の強化試合でもプレーさせている。

 チェコは16年7月のリオデジャネイロ五輪世界最終予選で対戦し、71-87と敗れている相手。201センチのPGトマシュ・サトランスキー(ウィザーズ)はNBAでも活躍する名手だ。

 5日に対戦する米国はNBAを通算5回制した名将グレッグ・ポポヴィッチが率いている。大会を2連覇中で、注目選手を挙げようが無いほどのタレント軍団だ。

 今は日本代表が世界の大舞台に進み、「本気の戦い」を経験できることをまず喜びたい。過去最強のチームに、悔いのない戦いを見せてほしい。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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