東京2020 THE WAY to 2020

新競技・バスケ3x3で杉本天昇が羽ばたく
五輪目指す大学トップスコアラー

 2020年東京大会そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第45回は秋田県出身、3人制バスケットボールの杉本天昇(すぎもと・てんしょう)を紹介する。

大学ナンバーワンスコアラーの杉本天昇。東京五輪で新たに採用された「3x3(スリーエックススリー)」の日本代表候補に名を連ねる
大学ナンバーワンスコアラーの杉本天昇。東京五輪で新たに採用された「3x3(スリーエックススリー)」の日本代表候補に名を連ねる【スポーツナビ】

 東京五輪で初めて正式種目となる3人制バスケットボール「3x3(スリーエックススリー)」。その日本代表候補に、大学ナンバーワンスコアラーの杉本天昇が名を連ねる。


 昨冬の全日本大学選手権で得点王となり、今春の関東大学選手権でも得点ランキング2位を記録。勝負強さが光る3ポイントシュートや、巧みなステップと体の強さを生かしたドライブで得点を量産する。


 5人制の年代別代表にも選ばれ、2017年の「FIBA U19バスケットボールワールドカップ」では、NBAのワシントン・ウィザーズに入団した八村塁らとプレー。過去最高の10位になった。

スコアラーの基礎はバスケどころ・秋田で

 彼のルーツをたどると、全国屈指のバスケどころ・秋田にさかのぼる。


「シュートを決めたら“楽しい”という感覚」が芽生えたことをきっかけに、小学2年生からバスケを始めると、地元の山王中時代には、全国中学校体育大会に2度出場した。特に3年時は主将になったことで、リーダーシップは言葉よりも「自分の持ち味である得点力で引っ張っていく」とプレーで表現。いまに通じるスコアラーの基礎を培った。


 ただ、選手として上位カテゴリーにいけば、総合的な力が求められるもの。進学した名門の土浦日本大学高(茨城)では、当時の監督・佐藤豊氏に「ディフェンスをやらないと試合に出さないぞ」と指摘され、なかなかプレータイムがもらえなかったという。


 だが「絶対に試合に出たかったし、絶対に日本一になりたかった」と、コートに立つために「練習がすべて」と努力は怠らなかった。


「膝がガクガクになるまでやっていました」と地道なフットワークから真剣に取り組み、強みを伸ばすべくシューティングでも追い込んだ。「自分の今があるのは、土浦日大で佐藤先生に教わったことが大きかった」と振り返る。


 そして大学では「外でただシュート打っていたら試合に出られない」と、本来の武器により磨きをかけた。もともと得点能力に秀でていたが、身長185センチはバスケ選手としては決して大きくなく、特段のジャンプ力やスピードはない。その代わり「ディフェンスを見ながら駆け引きを考えながらやっています」と、頭を使ってプレーすることを心掛け、チームメートや他大学の仲間と「ひたすら1対1」をすることで、スキルを上げていった。

3x3未経験にもかかわらず有力選手へ

自慢の得点力はバスケどころ・秋田で培った(写真左が杉本)
自慢の得点力はバスケどころ・秋田で培った(写真左が杉本)【(C) 3x3.EXE PREMIER 2019】

 このように3人制とは無縁だった杉本であったが、昨年に転機が訪れた。未経験にも関わらず、3x3日本代表候補に選出されたのだ。


 同年夏に開催のアジア大会で23歳以下による競技開催が控えていたこともあって、白羽の矢が立った。当の本人は「ルールもまったく分からない状態」で合宿へ参加。3x3は5人制に比べて、体のぶつかり合いが非常に多く、審判の判定基準も異なる競技特性を把握していなかった。そのため、日本ランキング1位の落合知也(大塚商会越谷アルファーズ)ら経験豊富な先輩たちとの練習では、「ファウルじゃないのかよ! と思いました。慣れるのが大変で、バスケではないぐらいのハードさだった」と面食らう。


 だが、ここで杉本は心が折れるような選手ではなかった。


「代表に呼ばれて、自分なりにキャリアもプライドもあった」と、徐々に3人制に適応して、持ち味である得点力を発揮。国内外の遠征を経て、宮越康槙(青森ワッツ)、松脇圭志(日本大4年)、荒川颯(拓殖大4年)とともに、アジア大会に出場。今年も2月にBリーガー含む30名弱の選手が招集された代表候補合宿に呼ばれ、その後15名に絞られた2度目の合宿にも残留。今では有力選手に成長した。本人も「やってきたなかで、評価していただいたことはシンプルにうれしい」と話す。


 とはいえ、彼は代表でまだ満足のいく結果を残せていない。前述のアジア大会では「チームワークが良く、メダルを狙えるぐらいだった」と、手ごたえを持って臨んだが、本人は大会途中に捻挫のアクシデントで離脱……。


「自分を責めましたけど、チームにも迷惑をかけた気持ちが強かったです」


 杉本抜きで戦った日本代表は決勝トーナメント初戦で敗れ、ベスト8で散った。


 今年の6月には、世界各国のU-23世代が集まる国際大会・FIBA 3x3 U23 Nations Leagueに出場するも、6チーム中最下位。「結果を出せなかったことに悔いが残っています」と、不完全燃焼に終わった。

大橋裕之

1986年生まれ。3人制バスケットボール3x3をメインに執筆キャリアを積んでいるフリーランスライター。オリンピックの正式種目になる前から週末に各地の大会を行脚。トップリーグ・3x3.EXE PREMIERは2014年の開幕から全シーズン、ライターとして携わり、FIBA(国際バスケットボール連盟)が主催するクラブ世界一を決めるツアー大会、FIBA 3x3 World Tour Mastersの宇都宮大会は2016年より毎年取材へ。『hangtime』や『FLY Magazine』、JBA会員向け情報誌『TIPOFF』などに寄稿。

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