女王エネイブル新境地開くKジョージ劇勝 1975年の“伝説”を彷彿させた一騎打ち
馬場は稍重、シュヴァルグラン現地6番人気
歴史に残る一騎打ちとなった2019年キングジョージ、女王エネイブル(手前右、桃帽)が新境地を開く競馬で同レース2度目の勝利を飾った 【Photo by Getty Images】
JRAの馬券発売では今年初戦となった前走のG1エクリプスSを制して10連勝中の5歳牝馬エネイブルが単勝1.2倍(現地では1.6倍)の1番人気。前走のG1プリンスオブウェールズSで、待望のG1タイトルを掴んだクリスタルオーシャンが単勝6.1倍(同4倍)の2番人気で続き、G1英ダービー優勝、G1愛ダービー2着のアンソニーヴァンダイクが単勝8.2倍(同8.5倍)の3番人気。O.マーフィー騎手をパートナーとしたシュヴァルグランはJRAで単勝16.7倍の4番人気、現地では51倍の6番人気となった。
残り400mは人気2頭の激しいマッチレース
勝利するにはエネイブルが動き出す前に機先を制すことと意識したJ.ドイル騎手は直線を迎える前に一度、二度と股の間から後ろを覗き、すぐ後ろにいたヴァルトガイストを目視して最終コーナーでクリスタルオーシャンを先頭に導いて逃げ込みを図った。ヴァルトガイストの後ろに身を潜めていたエネイブルもコーナーワークで、一気に差を縮めて外からぴたりと並びかける。残り400mは人気の2頭による激しい一騎打ち。英、愛ダービーを制して臨んだグランディが古馬最強馬バスティノを半馬身差退けて今も伝説のレースとして語り継がれる1975年の”キングジョージ”を彷彿させた激戦は、ゴールまで内に圧力をかけ続けた女王エネイブルに軍配が挙がった。クリスタルオーシャンはクビ差遅れての2着。2着から1馬身3/4差の3着にフランスのヴァルトガイスト。4着に昨年のG1凱旋門賞で6着したサルウィン。シュヴァルグランは勝ち馬から12馬身以上離された6着で入線し、オブラエイン厩舎のエース、アンソニーヴァンダイクは直線で馬群に沈んでブービー11着に敗れた。稍重の勝ちタイムは2分32秒42だった。