田中将大が復活? バウアーは? 新人王は? 小笠原道大が12球団のトピックスを◯か✕か大予想 

大利実

今年注目の投手についても小笠原氏は打者目線で語ってくれた 【撮影:スリーライト】

 いよいよ、2025年のプロ野球が開幕する。キャンプ・オープン戦で各球団の戦力や、選手個々の調子などが見えてきたところで、中日、日本ハム、巨人のコーチを歴任してきた小笠原道大氏に直球質問をぶつけた。球団ごとに用意したファンもどちらかで迷うトピックに、△なしの○か×で答えなければならないというものだ。「ミスターフルスイング」と呼ばれた小笠原氏のアンサーは? 打者目線から各球団の注目選手について分析してもらった。

巨人:田中将大が10勝以上する

小笠原氏の予想「×」

――NPB復帰5年目、今季から巨人でプレーする田中将大投手。復活の二けた勝利はあるでしょうか?

 残念ながら「×」です。正直、ストレートの強さを含めた絶対的な力が落ちています。3月の段階で、ストレートの球速は140キロ台半ば。低めにコントロールできれば、ゴロを打たせることができますが、精度の面でもまだ不安定なところがありました。

――どのぐらいの勝ち星を予想しますか?

 巨人の打線、さらにライデル・マルティネス投手が加わり、リリーフが安定したことを考えると、6~8勝する可能性はあります。6回まで試合を作れば、チャンスが出てくる。さまざまな経験の中で磨いてきた投球術は、さすがのものがあります。

――となると、「200勝」の可能性はあると。現在、日米通算197勝です。

 新しい環境になったことで、「やってやるぞ」という前向きな気持ちがあるはずです。大記録達成に期待したいですね。

阪神:森下翔太がタイトルを獲得する

小笠原氏から見た森下翔太のバッティングの良さとは? 【写真は共同】

小笠原氏の予想「×」

――プロ入り3年目となる成長株・森下翔太選手が打撃タイトルを獲得するでしょうか?

 確実に成長していますが、タイトル獲得となるとまだ難しいと思います。現状では30本や40本打つ力はなく、打率を残すアベレージ型でもありません。可能性があるとしたら打点王ですが、村上宗隆選手や岡本和真選手ら強力なライバルもいるため、なかなか高いハードルになります。

――打点を稼ぐために、バッティング面でカギになるのはどんなことでしょうか?

 多少強引なところがありながらも、積極的にバットを振れるのが森下選手の良さです。ただ、打点を稼ぐとなると、状況に応じたチームバッティングが必要。強引さの中に丁寧さや繊細さが出てくると、さらにいいバッターになるはずです。

DeNA: バウアーがタイトルを獲得する

小笠原氏の予想「〇」

――DeNAに復帰したバウアー投手が、投手タイトルを獲得するでしょうか?

 悩むところですが……、最多勝の可能性はありうると思います。DeNAの打線を考えると、6回~7回まで試合を作っていければ、勝ちにつながるチャンスが広がるはずです。ストレート、変化球、コントロールすべてのバランスが整っていて、総合力が高い。欠点が少ないところが、最大の武器と言えます。

――どのぐらいの勝ち星が条件になりますか?

 「最多勝」と考えれば、15勝以上は必要。そうなると、年間通してローテーションを守ることが必須条件です。不安があるとすれば、体力面になるでしょう。三浦大輔監督が中何日で回していくのか、そのあたりもタイトルに関係すると思います。

広島:常廣羽也斗2年目で新人王なるか?

小笠原氏の予想「×」

――2年目を迎えるドラ1の常廣羽也斗投手。昨年は2試合の登板に終わりましたが、新人王獲得はなるでしょうか?

 まだ、厳しいと思います。たしかに、いいストレートは持っていますが、年間通して先発でやれるだけの引き出しがあるかどうか。先発で勝つにはストレートに加えて、2種類の変化球を操る技術を持っていることが条件になります。

――まだそこまでのレベルではないと。

 先発で新人王を獲るには、シーズン通して安定した力を出さなければいけません。昨年ほとんど投げていなかった面を考えても、もう少し経験が必要だと思います。

ヤクルト:村上宗隆NPBラストイヤーで三冠王再び

小笠原氏は村上のバッティングに復活の兆しを感じている 【写真は共同】

小笠原氏の予想「×」

――2022年に三冠王を獲得した村上宗隆選手。「NPBラストイヤー」とも言われていますが、再び三冠王の快挙となるでしょうか?

 さすがに、三冠王のハードルは高いと思います。本塁打、打点の可能性はありますが、打率となるとどうか。タイラー・オースティン選手(DeNA)やドミング・サンタナ選手(ヤクルト)らライバルがひしめいています。

――昨年は前半なかなか数字を残せませんでしたが、最終的には本塁打と打点の二冠を獲得しました。

 シーズン前半は“空”を見るのが早かったですね。足元の土台が不安定で、地面からの力をスイングに伝えてきれていない。8月あたりから、コンディションが良くなったのか、意識を変えたのかはわかりませんが、復活の兆しが見えていました。そのバッティングが継続できれば、三冠王に近い数字が期待できると思います。

中日: 髙橋宏斗が沢村賞を獲得する

小笠原氏の予想「×」

――昨年12勝4敗、防御率1.38と活躍した髙橋宏斗投手。初の沢村賞を獲得するでしょうか?

 かなり難しいですね……。迷った末に「×」にします。髙橋投手が球界トップクラスのピッチャーであることは間違いありません。ストレートが速く、空振りを奪える変化球を持っていて、高い確率で自分の意のままにボールを操ることができる。ただ、沢村賞となると勝ち星や完投数も求められてきます。

――昨年は「完投1」でした。

 さきほど、「バウアー投手が最多勝を獲得する」と予想したので、相対的に考えると、沢村賞は難しいと思います。あとは、中日の打撃陣の状況を考えても、勝ち星が増えにくいのではないかなと。マルティネス投手が巨人に移籍したことも、勝ち星に影響が出てくると想像します。

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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