連載:レアル・マドリー・カスティージャの「真実」

ラウール、カシージャス、カルバハル… 「カスティージャ」が生んだ英雄たち

下村正幸
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レアル・マドリーの栄光はラウール(右)、グティら「カスティージャ」出身の英雄たちに支えられてきた 【Real Madrid via Getty Images】

 世界最高クラスのタレントがしのぎを削るレアル・マドリーは、他のどこよりも生き抜くのが難しいクラブだろう。カスティージャからトップチーム昇格を勝ち取り、さらにそこで居場所を確保し、何年も活躍を続けるのは至難の業。厳しい生存競争を勝ち抜き、大きな成功をつかんだ生え抜きのスターは、未来永劫語り継がれるクラブの英雄だ。

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偉大な先達からポジションと背番号を奪う

弱冠17歳でトップチームにデビューし、長くクラブのシンボルでありつづけたラウール。今シーズンからは久保が入団したカスティージャの監督を務める 【写真:ロイター/アフロ】

 同時期に何人ものカスティージャ出身者がレアル・マドリーの主軸を担ったのは、「キンタ・デ・ブイトレ」の時代が最後だ。

 エミリオ・ブトラゲーニョを筆頭に、ミチェル、マルティン・バスケス、ミゲル・パルデサ、マヌエル・サンチスという才能豊かな若手5人衆が、ほぼ同じタイミングでトップチームに昇格。リーダー格だったブトラゲーニョの愛称、「ブイトレ(ハゲワシ)」から「キンタ・デ・ブイトレ」と名付けられたチームは、1985−86シーズンからラ・リーガ5連覇という偉業を成し遂げた。

 アリーゴ・サッキ監督率いるACミランの黄金時代と重なり、チャンピオンズカップ(チャンピオンズリーグ/CLの前身)のタイトルには惜しくも手が届かなかった。それでも、その攻撃的なサッカーは人々を魅了し、マドリーの歴史に燦然(さんぜん)と輝く伝説のチームのひとつとしていまなお語り継がれる。

 この後、入れ替わるようにライバルのバルセロナにヨハン・クライフ監督率いる「ドリームチーム」が誕生。栄華を謳歌(おうか)する宿敵の陰で、マドリーは低迷期を過ごす。そんな苦しい時期を経て、ホルヘ・バルダーノ監督の下で5年ぶりのラ・リーガ制覇を果たした94−95シーズンに、17歳4カ月という若さで颯爽(さっそう)とトップチームデビューしたのが、ラウール・ゴンサレスだった。
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