連載:村田諒太、王座奪還の可能性

“不利なリマッチ”で勝利をつかめるか 第1ラウンドの攻防に刮目せよ!

二宮寿朗
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なす術なかった初戦をどう乗り越えるか

前日計量の様子。村田諒太はリミット(72.5キロ)より200グラムアンダーの72.3キロ、王者のブラントも300グラムアンダーの72.2キロで一発クリアした 【山口裕朗】

 リマッチは勝ったほうが有利で、負けたほうが不利。

 ボクシングの世界では、半ば常識とされている。前の試合の結果と内容がはっきりしていれば、なおさらだ。

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 7月12日、エディオンアリーナ大阪。村田諒太はその常識破りに挑むことになる。昨年10月、“ボクシングの聖地”ラスベガスで指名挑戦者ロブ・ブラント(アメリカ)に敗れ、虎の子のWBA世界ミドル級王座を手放した。ジャッジ2人が10ポイント差、1人が8ポイント差の完敗であった。

 ざっくり評すれば、ブラントのスピードとうるさい手数の前になす術がなかった。高速連打にガードの間を割られ、プレッシャーをかけてもスピードあるステップでかわされる。右を打ち込めば、逆に打ち終わりに合わされる。5回に右ストレートをヒットさせたものの、後が続かなかった。飛ばし気味と思われた挑戦者の体力は落ちず、むしろ王者の疲労感のほうが先に表れてしまった。

 ならば、どう戦うか――。

 10月の試合を現地で解説し、南京都高(現在は京都廣学館高)ボクシング部、帝拳ジムの先輩でもある元WBC世界バンタム級王者・山中慎介はリベンジ成就のポイントに「初回の攻防」を挙げた。
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著者プロフィール

1972年、愛媛県生まれ。日本大学卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社し、格闘技 、ラグビー、ボクシング、サッカーなどを担当。退社後、文藝春秋「Number」の編集者を経て独立。 様々な現場取材で培った観察眼と対象に迫る確かな筆致には定評がある。著書に「 松田直樹を忘れない」(三栄書房)、「中村俊輔 サッカー覚書」(文藝春秋、共著)「 鉄人の思考法〜1980年生まれ、戦い続けるアスリート」(集英社)など。スポーツサイト「SPOAL(スポール)」編集長。

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