アスコット初戦での攻略はやはり難しい 改めて思い出されるハーツクライの強さ

JRA-VAN

急激な馬場悪化、ディアドラには強い向かい風に

視界も霞む大雨の中で行われたプリンスオブウェールズS、日本から参戦した武豊&ディアドラ(右から2頭目、赤帽)は6着に敗れた 【Photo by Getty Images】

 英国王室主催のロイヤルアスコット開催2日目のメイン競走として行われたG1プリンスオブウェールズステークス(芝1990m)には日本のディアドラなど3頭の牝馬を含む8頭の古馬が出走した。開催初日の火曜から天候は下り坂。プリンスオブウェールズSのパドックのころから雨の勢いが急に強くなって馬場状態は「ソフト」。

 3月のドバイ遠征(G1ドバイターフでアーモンドアイの4着)から4月のG1香港クイーンエリザベス2世カップ(ウインブライトの6着)を経てニューマーケットに到着したディアドラのもとには、日本から武豊騎手が駆けつけて強敵と難コースに立ち向かった。

 JRAの馬券発売による人気は前走のG1タタソールズゴールドカップまで今年重賞を3連勝中の4歳牝馬マジカル(単勝2.3倍)、昨年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスの2着馬で今シーズンに入って重賞を2連勝している5歳牡馬のクリスタルオーシャン(3.9倍)、エネイブルに短クビ差まで迫った昨年のG1凱旋門賞以来の実戦となる4歳牝馬のシーオブクラス(4.3倍)、前走のG1ガネー賞を豪快に差し切ったフランスの5歳牡馬ヴァルトガイスト(6.3倍)の順で続き、日本からの応援票を集めたディアドラは10.9倍の5番人気で向正面のスターティングゲートに並んだ。

 雨の影響はプリンスオブウェールズSの直前に行われた長距離戦のG2クイーンズヴァースでも現れて、後ろから行った人気馬が届かない前残り決着。プリンスオブウェールズSの出走馬の中でも決め手を武器にするシーオブクラスや、ここまで悪化した馬場の経験がないディアドラには強い向かい風となった。

クリスタルオーシャン4度目挑戦でついにGI初勝利

 現地発走時刻の午後3時40分にゲートを飛び出した8頭は、おむすび型の頂点にあたる窪地のスウィンリーボトムに向かって徐々に隊列を崩し、マジカルのペースメーカー役となったハンティングホーンを先頭に一群になって進んだ。道中4番手を進んだディアドラの武豊騎手は、芝が深く、雨でさらに柔らかくなった馬場にバランスを崩さないようにと手綱に神経を集中して最後の直線に待ち受ける上り坂に備えた。

 スウィンリーボトムを鋭角に右に折れた馬群はそれぞれの思惑を載せて最終コーナーに向けて徐々にスピードアップした。L.デットーリ騎手が先手を打つようにして2番手から早めに逃げ馬に並びかけ、500m続く直線にクリスタルオーシャンを誘導して地力勝負に出る。これに呼応するようにR.ムーア騎手のマジカルが一気に加速して必死に追いつこうとするも、上り坂を左右に蛇行して1馬身差が縮まらない。急に強く降り出した雨に心身が過敏に反応したのか、道中は銜(ハミ)を咬み通し。強い興奮状態であったことが垣間見えた。

 残り200mで勝負は決着。濃紺の勝負服を纏ったデットーリ騎手に導かれたクリスタルオーシャンが4度目のG1挑戦を実らせて優勝。1馬身1/4差の2着にマジカル。後続馬群から脚を伸ばしたヴァルトガイストが2着から3馬身1/4差の3着で入線。シーオブクラスは馬場に持ち味を殺されて5着。直線まで食らいついていったディアドラは、勝ち馬から約13馬身差の6着でレースを終えた。勝ちタイムは2分10秒25だった。

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