アスコット初戦での攻略はやはり難しい 改めて思い出されるハーツクライの強さ

JRA-VAN

デットーリ騎手の好判断が導いた勝利

積極策を打った鞍上デットーリはさすがの好判断、クリスタルオーシャンにとって待望のGI初勝利となった 【Photo by Press Association】

 プリンスオブウェールズSでは過去10年の勝ち馬の傾向として、
(1)4歳もしくは5歳馬 
(2)芝の2000m戦で勝ち鞍あり 
(3)G1レースの勝ち馬 
(4)キャリア7戦から17戦 
(5)牝馬の勝ち馬率は低い 
(6)シーズン初戦馬は苦戦
などのトレンドがあることが知られていた。

 クリスタルオーシャンは(3)のG1勝ち馬という項目以外は合致していた。そして何よりも急変した馬場で先手必勝!とばかりに自力勝負に出たデットーリ騎手の好判断が、この馬の潜在能力を引き出した。

 敗れて尚強しの競馬で2着になったマジカルは、今年に入ってG3、G2、そして前走のG1タタソールズゴールドCまで3連勝と順調なステップを踏んでいたが、この3戦のすべてでレースを引っ張って2着だった同厩舎のフラッグオブオナーが不在だったことも微妙に影響したか。陣営はシュヴァルグランが出走を予定する7月27日のG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSを次走候補に挙げている。もし出走するようなら手ごわいライバルになるだろう。

武豊「最後は力尽きてしまいました」

 ディアドラは「馬も頑張っていましたが、最後は力尽きてしまいました」という武豊騎手のコメントが示す通り。今回は直前の大雨で特殊な馬場になったが、これがなくてもこのコースをぶっつけで走るのは(特に日本のスピード競馬に慣れた馬には)難しい。

 改めて思い出されるのは、アスコットが改装工事を終えた2006年のG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSで直線先頭に立ち、勝ったハリケーンランから1馬身差の3着に入線したハーツクライの強さである。

(サラブレッドインフォメーションシステム 奥野 庸介)

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