ラグビー日本代表、異例の強化は実るか 「2チーム制」を選んだ指揮官の信念
日本代表42名を発表
リーチ マイケル主将(中央)を中心としたラグビー日本代表が、ワールドカップに向けて強化を進めている(写真は昨秋の欧州遠征) 【写真:アフロ】
このメンバーから31名がフィジー代表、トンガ代表、アメリカ代表と対戦するPNC(パシフィックネーションズ・カップ/7〜8月)に選ばれ、再び40名ほどで8月下旬に網走合宿を敢行、8月末にワールドカップに出場する最終スコッド31名が決まる。
日本代表候補とサンウルブズの2チームで強化
日本代表発表会見に臨んだジェイミー・ジョセフHC 【斉藤健仁】
2月、日本代表の主力選手を中心に開幕8カ月前から合宿をスタートさせた。主将のFLリーチ マイケルが「言い訳はできない」と言っていた通り、これは他の国と比べると異例の期間である。基礎練習やフィジカルトレーニングから始めて、実戦形式の練習を経て、3月末から5月まで「ウルフパック」を編成し、スーパーラグビーのBチームを中心に6試合戦った。
ウルフパックは初戦こそハリケーンズBに敗れたものの、5勝1敗で終えた。「フィジカル的に物足りなかった」、「ワールドカップイヤーなのでウルフパックにいたほうがいい」と本音を語る選手もいた。ただPNCやワールドカップ本番のプレシーズンマッチとして捉えれば、格好の相手だった。代表の主力をレベルの高いスーパーラグビーでずっと戦わせて、本番でコンディションを落としてしまうリスクよりも、しっかりと調整に重きを置いた。
選手個々のメンタル、フィジカルに配慮
前回W杯以降に出場試合数が多かったPR稲垣啓太は、日本代表候補での活動となった 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】
またジョセフHCはPR稲垣啓太を引き合いに、2チーム制で戦った意図をこう説明した。「私の方針はゲームタイムを与えることだった。(サンウルブズに送らなかった稲垣は)3年間ずっとラグビーを続けてきた選手なので彼をしっかりケアしたいと思った。レベルズ(豪州)でのプレー経験もある、スーパーラグビーの経験も十分ある。ケースバイケースで扱った」。また指揮官は「選考時のポリシーの一つであったのが、今まで3年間ぶっ続けでラグビーをやっていた選手はかなり負荷が多かったので、しっかりした休みを与えたいと思い、加味した」というように、選手個々のメンタル、フィジカル両方のコンディションに配慮していたことがわかる。