堀江翔太、W杯に「全部、懸けたい」
日本ラグビーの頼れる男が復帰

「ワールドカップにつながるように」

日本ラグビーを引っ張ってきた堀江翔太
日本ラグビーを引っ張ってきた堀江翔太【斉藤健仁】

 日本ラグビーを引っ張ってきた頼れる男が帰ってきた。

 4月20日、日本代表候補選手による特別編成チーム「ウルフパック」で2番を背負って先発出場し、4月26日にはサンウルブズでスーパーラグビー自身6年目のシーズンを迎えた。0対52でハイランダーズに大敗したが、後半から秩父宮ラグビー場のピッチを駆けた。

 それは、奥さんに編んでもらっているドレッドヘアーがすっかりトレードマークになった日本代表キャップ58を誇る堀江翔太、33歳である。


 日本人FWとしては、初めてのスーパーラグビー選手となり、最多(43試合)出場を誇る。2011、15年のワールドカップも出場した日本代表の中心選手のひとりで、9月から日本で開催されるワールドカップは出場すれば3度目となる。「1試合1試合、ワールドカップにつながるようにしていきたい」と日々、研鑽に努めている。

右足の骨折「もう一度、割れたら終わりなので」

右足の骨折からの復帰を目指し、トレーニングを続けていた
右足の骨折からの復帰を目指し、トレーニングを続けていた【斉藤健仁】

 ただ堀江は3月末、ニュージーランドで行われた「ウルフパック」の試合で出場まで半年あまり、実戦から遠ざかっていた。


 実は昨年9月22日、パナソニックの選手として出場したトップリーグでの試合で違和感を覚え、後半4分で途中交代していた。「だいぶ前から右足首が詰まるような感じがあった。いつもの痛みじゃなかった」。右足甲の舟状骨の疲労骨折で、中心部にヒビが入っていた。


 9月に開幕するワールドカップを見据えて、堀江は「最初は、手術はしたくなかった」と振り返る。15年のワールドカップも同年2月に首の手術をし、リハビリを重ねて、どうにか大会に間に合わせたが、その経験が頭にあったことは容易に想像できた。


 ただ、残念ながら骨が自然治癒する傾向が見られなかったこともあり、昨年11月末に手術を決断。骨を削ってネジを入れたという。治りにくい場所ということで、年末は「3月には試合に出たい」と言っていたが、年始には「なるべく早く復帰したいが、人によって治り具合が違うみたいで……。もう一度、割れたら終わりなので」と珍しく、少し弱気な発言をしていた。


 しかし、2月から東京で始まった日本代表候補合宿では「順調です」と、全体練習とは別メニューだったが、グラウンドを元気に走っている姿があった。そして3月最初の沖縄合宿から全体練習に参加。HOに他にケガ人が出たこともあって、ニュージーランド遠征のメンバーに選ばれ、ついに実戦に復帰したというわけだ。

「一番、応援してくれていた」父親の死去

日本代表候補による「ウルフパック」で良いプレーを見せた堀江
日本代表候補による「ウルフパック」で良いプレーを見せた堀江【斉藤健仁】

 堀江はニュージーランド遠征に出発する4日前に「一番、応援してくれていた」という父親をがんのため64歳で亡くしていた。堀江が帝京大を卒業後に発病し、10年間、闘病していた。以前にその話を本人から聞いており、2月に状態を聞いたときは「ワールドカップまで、もう、もたんでしょ」と、すでに覚悟はついていたようだった。ただ、メンタル的につらい、厳しい状況だったにも関わらず、2人の娘の父親として、プロ選手としての責任感からラグビーに専念したというわけだ。


 4月6日のウルフパックの試合でついに2番として先発出場を果たし、20日には国内で約7カ月ぶりに元気な姿を見せてファンを安心させた。「良くなっています。前の試合の反省しながらチャレンジしています」と、セットプレーの安定に貢献するだけでなく、さらに堀江らしく右サイドでトライを挙げる活躍を見せて、66対21の勝利に貢献した。


 そして4月21日、満を持して堀江は、参入1年目に主将も務めたサンウルブズに合流した。「昨年11月の日本代表の試合も出ていないので、そういうのを考慮してジェイミー(・ジョセフ日本代表HC)も早めに高いレベルでやってほしかったんやと思います。スーパーラグビーを経験して、PNC(パシフィックネーションズカップ/7月に日本代表が参加)をやって、ワールドカップを迎えたい。高いレベルの試合ができることが一番。10回の練習が1回の試合やと思うので」

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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