コパ・アメリカ2019連載

東京五輪で金メダルを獲得するために――メキシコに学ぶ「コパ・アメリカ活用術」

清水英斗
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五輪に向けた強化はどの国も遅れがち。久保建英(中央) ら東京五輪世代に、中島翔哉(右)をはじめオーバーエイジをこの段階で融合できるメリットは大きい 【Getty Images】

 A代表のフルメンバーをそろえてコパ・アメリカに臨むことはかなわなかったとはいえ、来年の東京五輪を見据えた強化の一環と捉えれば、ネガティブになる必要もないはずだ。理想のモデルケースとなるのが、同じくU-22代表主体のメンバー構成で2011年のコパ・アメリカを戦い、翌年のロンドン五輪での金メダルへとつなげたメキシコだ。

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1年前から融合に着手できるアドバンテージ

 キリンチャレンジカップのトリニダード・トバゴ戦、エルサルバドル戦を終えた日本代表は、南米ブラジルへと飛び、カタールとともに招待国としてコパ・アメリカに参戦する。日本の初戦は6月18日(日本時間)、チリ戦だ。

 コパ・アメリカは異なるサッカー連盟(CONMEBOL=南米サッカー連盟)の主催大会であり、日本は1月にAFC(アジアサッカー連盟)主催のアジアカップを戦ったため、今回は所属クラブに対して選手の拘束力がない。それでも、シーズンオフとなる海外クラブからは、直接交渉による承諾を得て、中島翔哉(アル・ドゥハイル)、柴崎岳(ヘタフェ)、冨安健洋(シント=トロイデン)と、現A代表の主力3人を招集することに成功している。

 とはいえ、大迫勇也、南野拓実、堂安律、昌子源といった海外組の招集はかなわず、さらにコパ・アメリカの期間中もJリーグは中断されないため、キリンチャレンジカップの2試合で存在感を放った畠中槙之輔(横浜F・マリノス)、橋本拳人(FC東京)、シュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)らの国内組もブラジルに連れて行くことはできなかった。彼ら中心選手を欠けば、チームは致命的なダメージを受ける。Jクラブ側が招集を拒むのは仕方がない。

 では、そうした状況で、日本はどのような狙いを持って、コパ・アメリカに挑むべきか。

 その答えが、「東京五輪世代」の招集だった。三好康児(横浜FM)、松本泰志(サンフレッチェ広島)、杉岡大暉(湘南ベルマーレ)らのU-22国内組のほか、中山雄太(ズヴォレ)、板倉滉(フローニンゲン)、伊藤達哉(ハンブルガーSV)といったU-22海外組の招集にはなんとかこぎ着けている。さらにU-20W杯を回避させた久保建英(FC東京)、安部裕葵(鹿島アントラーズ)、大迫敬介(広島)も加え、東京五輪世代に関してはほぼベストと呼べる顔ぶれを集められたと言っていいだろう。
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著者プロフィール

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書は「欧州サッカー 名将の戦術事典」「サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術」「サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材では現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが楽しみとなっている。

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