日野レッドドルフィンズの巨大ビジョン「ラグビー×企業貢献×地域戦略」

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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

今後のトップリーグに必要なこと

細谷氏は収益化についてどのように考えているのだろうか 【スポーツナビ】

 講演に続いて、来場者と細谷氏の質疑応答が行われた。以下はその要旨。

――トップリーグのほかのチームに希望することはありますか?

 僕みたいなものが言うべきものではないと思いますけれども、選手はグラウンドで体を張るじゃないですか。やはりわれわれスタッフやチームを率いている人間はどこで体を張るかだと思うんです。組織は永遠ではないので、存在し続けるためにはどこかで変わらなければならない。ただ、やみくもに変えるだけでは持続的な成長は望めない。それらを的確に分かりやすく会社や協会に伝えて実践していくのがスタッフの重要な役割だと思っています。

 言うべきことは言う。言ったからには結果も出す、実行していく。その延長線上に子供たちにラグビーを選んでもらえるのではないかなと。変えられるという強い信念を持てば絶対変えられる。まずは自分たちの中の環境からでも変えられると。そういうものを目指していけばおそらく素晴らしいスポーツ競技、団体になるかなと思います。

――サンウルブズの一件やスーパーラグビーの経済状況を見ても、15人制のプロリーグ維持は非常に困難なことのように思いますが、今後の日本ラグビーはどのようなモデルを確立すべきでしょうか?

 プロ化の議論は別として、現在トップリーグに参入している企業にはそれぞれ何万人という社員がいます。それだけの人数を束ねるのはものすごく難しいことだと思うんですよ。でも社長が一件一件の案件に指示を出すことは絶対できない。社長の大きな経営方針を各部門長がそれを理解してどう部下に伝えて束ねていくかですよね。

 ラグビーには言い尽くされている“One for all,all for one”という言葉がありますが、一人がみんなのために、みんなが一人のためにだけじゃないんです。みんなが一つの目的や目標に向かえるかが”All for One”の本当の意味だと思います。

 会社という大組織を一つの目的に向かわせていく、ラグビーにはその精神があるじゃないかと。15人の役割がそれぞれあって、一つの目標に向かっていく姿が、これが会社組織でも必要なんだということを伝えられたら、ラグビー部=コストセンターという見方はされないのかなと思っています。このことを伝えるのは僕はそんなに難しいことじゃないと思う。ただ、前述したように、毎年経費が増大し続ける体質構造では継続していくのは難しい。会社の負担を軽減する意味でも、経費の一部を費用回収するというスキームは必要でしょう。ラグビー協会とチームを保有する企業が方向性を合わせて、スポーツビジネスのスキームをどのように作るかという時期に来ていると思います。

――今日の細谷さんのお話に感銘を受けた人が多いのですが、伝える力をどう考えていますか?

 発信するというのは言葉力もそうですし、決断力、判断力などそういったもので勝つことです。どういった道しるべで勝つかというのは、例えば清宮克幸がやるやり方と僕のやり方は違うわけです。でも同じ価値を目指していく。勝った時にそれが求心力となってこのチームにきて良かったと思ってくれる選手が働いてくれる。だから僕ももっともっと働く。その相乗効果だと思っています。これがダメだったら俺のせいだと言うぐらいではないと、もう覚悟を決めないと。その覚悟に確信を持って言うことにしていますね。

 そういう視点で言うと、清宮(克幸)は日本ラグビー界において突出したリーダーシップを持っており、今でもナンバーワンの指導者であると思っています。僕自身、彼を目標にしてきましたし、個人的には日本代表の監督になってもらいたいと。

あなたにとってラグビーとは?

 僕にとっては感謝しかないです。ラグビーがあるからこういう場で表現させてもらえているし、この年齢になっても第一線でやらせてもらっています。ラグビーはスポーツの中で一番競技人数が多い。バラバラなマインドだと能力があっても勝てない。組織をどうやって束ねていくか、作っていくかというところはすごく学びましたね。どんな仕事でも同じことだと思います。

 束ねるにあたって、個性を否定はしないけれど、チームをバラバラになる要素があるとしたらそこは当然ながら修正しなくてはならない。でもチームのビジョンを理解してくれなかったらその組織の中になかなかいることができない。それはビジョンを最初に出さないとわからないことです。自分はこうだと思ってやっています、というのも一つの主張です。それを明確に出していくのがトップの責務だと思います。

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