4季目サンウルブズが担う大きな役割 CEO語る「ウルフパック」の意図は
今回は「ラグビーとリーダーシップ 〜ワールドカップに向けてのサンウルブズの役割」をテーマに、サンウルブズを運営する一般社団法人ジャパンエスアールCEOの渡瀬裕司氏をお迎えし、ラグビージャーナリスト・村上晃一さんの進行で講演が行われた。
CEO期待の選手は?
サンウルブズCEOが注目選手、そしてチームが担う役割について語った 【スポーツナビ】
「抜群のスピードが武器で、テレビで見るより肉眼で見ると本当に速いです。そして本当に練習熱心。厳しいメニューの後のシャトルランでも、毎回彼がトップで帰ってきます。アタックのキープレイヤーになっていくと思いますよ」
ディフェンス面で期待を寄せたのは、日本代表にも名を連ねるCTB中村亮土とSO松田力也。「彼ら2人が入ったときのディフェンスのプッシュ、前に出るスピードが本当にいい。ラインスピードが上がって、しかもしっかりディフェンスできているので、かなり出番が増えると思いますよ」。
一方、懸念していると明かしたのがセットプレー。シャークスとの開幕戦(2月16日)では組織的なディフェンスが機能しながらも、セットプレーから崩されてペナルティを与える悪循環に陥った。こちらはPR山下裕史、Loトンプソン・ルーク両選手の名前を挙げ、スクラムやラインアウトの立て直しに期待を示した。
サンウルブズが担う大きな役割
この両チームが融合する見通しを渡瀬氏は「3月下旬から4月」とした。「徐々に入れ替わっていきますが、4月に国内で2試合やりますので、そこではかなりレベルの高い水準のチームになっているのではないかなと」。
2月に発表されたサンウルブズ傘下の特別チーム「ウルフパック」の編成も、代表強化のため選手に試合経験を積ませることが目的だ。渡瀬氏は「練習だけやっていても選手強化にはつながりません」と試合経験を重視している。
「例えばニュージーランドにはスーパーラグビーのチームが5チームあって、それがニュージーランド代表の強化につながっている。南アフリカ代表ならスーパーラグビーに4チーム、それ以外の2チームはヨーロッパのリーグに参戦しています。日本の場合はサンウルブズ1チーム。本当に強い代表チームを作っていくためには、まだまだ足りないんです」
ハイレベルな試合で揉まれることは選手強化だけでなく、日本ラグビー界の足腰を鍛えることにもつながるという。
「(参戦して)選手のレベルは上がっていますし、一番大きいのはスタッフの経験値です。今までは勝つために海外からコーチングチームなど、スタッフ丸ごと持ってきていました。しかしその後は総入れ替えなので、何も残らない。
スーパーラグビーでは、日本人のコーチが何人か入って経験を積んでいます。それがないとなかなかヘッドコーチもできませんし。コーチだけではなくてドクターやトレーナーもそう。通訳も、われわれのようなマネジメント面の人間もそうで、非常にいい勉強になっています。こういったことが今後の日本のラグビーをドライブしていく財産になっていくと思います」
スーパーラグビーに参戦している国からは、トップ層のレベル維持のためチーム数を減らすことを求める声もあると言う。21年以降はサンウルブズの参戦も未定だ。しかし日本など中堅国の底上げは長い目で見ればラグビー界の発展につながる。
「一生に一度は、ジャパンがオールブラックスに勝つところを見たいじゃないですか」と渡瀬氏。サンウルブズが担う役割は大きい。