U-18侍ジャパンが春に合宿を行う意義 球児の心に響いた「世界一」の合言葉
練習でも効いた西谷氏の言葉
163キロの速球を投げたことで話題をさらった大船渡・佐々木。彼の投球を生で見て、感じたことに意義がある 【写真は共同】
「左投手は、日本なら(体が)開いてボークになるが、取ってもらえないのでアウトになる。一度けん制でアウトになると、その後は遅れてしまうんです。2015年の時にも、通訳と一緒に審判に聞きにいきました。『どこが基準か教えてくれ』と聞くと、『基準はケースバイケース』と言われた。ここはイライラしても仕方ないと思ったんです。その後、ウチ(日本)の左投手にもそうやれと言ったら、結構けん制でアウトになった。その感覚はやってないのとやっているのは違う。やってないでは言い訳にならないので、そこでどう対応するかだと思います」
最終日には近江の林優樹、高松商の香川卓摩、横浜の及川雅貴ら左投手が、日本ならボークをとられるけん制を試した。クセをつけすぎてはいけないが、いざ国際試合になった時に対応しやすいように、今のうちに確認することができたという点でも意義のあるものではないだろうか。
“生で見ること”で刺激
また、ブルペンに入った投手陣に渡辺氏が直接指導する場面もあった。創志学園の西純矢は渡辺氏から連絡先が書かれたメモを受け取った。これから相談したいときに、気軽に連絡できるようにという渡辺氏の思いを感じて、うれしそうにしていた。
6日まで春季大会を戦い、最終日だけ本人が「ぜひ」と希望して駆けつけた有明の浅田将汰は、渡辺氏から腹筋の使い方などのアドバイスを受け、投球練習の球に変化が見られた。「半日だけでも来て良かったです。またこの場に来られるように頑張りたい」と充実した表情で話してくれた。
夜は1時間半から2時間近くミーティングをし、永田JAPANが目指す野球などが伝えられた。選手とディスカッション形式にしたこともあったという。選手同士でもミーティングを開き、世界一という目標を共有した。
日本一とその先にある世界一へ
各高校、各指導者の理解があってこその代表候補合宿。目標は夏の甲子園という今の高校野球のスタイルを残しつつ、これからは、その先にある世界一を目指すことも全加盟校の指導者、学校関係者、選手に根付いていってほしい。
約15万人の高校球児全員が、日本一とその先にある世界一という目標が言えるような高校野球になっていければと願う。