U18侍、いつもの課題を残して解散 韓国・台湾は野球脳の成長を証明
大会中は自粛していた「シャキーン」ポーズを解団式で解禁。メンバー全員が笑顔で写真に収まった 【Koji Watanabe - SAMURAI JAPAN】
11日、宮崎市内のホテルで解団式が行われた。中川卓也(大阪桐蔭3年)主将が「17人の仲間に支えてくれた。この経験を生かして、野球人だけではなく、1人の人間としても立派になりたい」、根尾昂(大阪桐蔭3年)が「チーム力はどの国にも負けていなかった。まだまだ力不足なので練習をしてまた(日本代表に)戻ってきたい」と語るなど、それぞれが今大会を振り返った。永田裕治監督は「3位と残念な結果に終わったものの、野球は楽しいもの。1球を追いかけて18人の絆が生まれた。その絆で宮崎で戦ったことを忘れないでほしい」と挨拶。最後に、自粛していた吉田輝星(金足農3年)の侍ポーズを解禁、選手とスタッフ一同が「シャキーン」の掛け声で記念撮影をして、16日間にわたるチームが解散した。
2カ月続いた“負けられない戦い”に調整難航
チームは甲子園決勝から4日後の8月25日に始動し、大学日本代表との壮行試合などを経て29日に宮崎入り。香港、スリランカには連勝発進と、大一番である韓国戦にいい形で臨めたかに見えた。しかし韓国が繰り出す3人の投手の前に、打線が5安打と沈黙。7日の台湾戦では大幅に打線を組み替えたが2安打1得点に終わり、ワン・イェンチェンに102球での完投を許した。
永田監督は振り返る。
「東京での調子は良く、壮行試合でも負けはしたが、手応えはあった。それが宮崎に入ってから日の丸の重圧からか調子が落ちてきていた」
実は韓国、台湾と連敗を喫したあとの8日の練習に激励に訪れた渡辺元智・前横浜監督も同じことを言っていた。
「大学との壮行試合が一番ピークだった。そこからコンディションが下がってきていた。バッター陣にタイミングのズレが出始めていたところで、(香港戦やスリランカ戦で)どんどん打ってしまったので、(自分たちの調子がいいと)錯覚が起きてしまったのではないか」
実戦感を重視し、18名中17名は今夏の甲子園に出場したメンバーが選ばれている。プロでも長い期間好調を保つのは難しい。7月の地方大会から2カ月間トーナメント方式という負けられない戦いを続けた高校生たちにとってはなおさらだろう。甲子園が終わってから、すぐに代表合宿が始まり、猛暑の中で戦い続けた疲労も考慮に入れなければいけない。
甲子園出場を逃した選手たちのメンバー選考も議論されなけばいけないだろう。ただ、1カ月以上実戦から遠のき、さらにメンバーは甲子園決勝後に発表されるので、地方大会で敗れた選手が意識高く練習できるかという問題もある。
「今後は甲子園開幕前にメンバーを発表することも考えなければいけないかもしれない」とはあるスタッフ。永田監督も「甲子園からずっと調子がいい選手たちだったが、コンディションが下がったときに短期間での調整の仕方が難しかった」と語ったが、メンバー選考を含めて、コンディションの見極めなどピーキングに対する課題が残った。