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ラグビーを通じた開発とは?
元日本代表・向山昌利氏が語る

提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

ラグビー元日本代表で、現在は流通経済大学スポーツ健康科学部で准教授を務める向山昌利氏が講演を行った
ラグビー元日本代表で、現在は流通経済大学スポーツ健康科学部で准教授を務める向山昌利氏が講演を行った【スポーツナビ】

 公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団と、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会が主催する「みなとスポーツフォーラム 2019年ラグビーワールドカップ(RWC)に向けて」の第88回が10月22日、東京都港区のみなとパーク芝浦で行われた。


 今回は「ラグビーを通じた開発」というテーマのもと、ラグビー元日本代表で現在は流通経済大学スポーツ健康科学部で准教授を務める向山昌利氏を招き、ラグビージャーナリスト・村上晃一さんの進行で講演が行われた。

開発とは「困難な状況にある相手を思いやり、より良い状態を目指して介入すること」

 ラグビー界では“黄金世代”と呼ばれる1975年生まれの向山氏は、主にNECグリーンロケッツでプレー。日本代表キャップも6を数えるなど、国内を代表するセンター(CTB)として活躍した。09年に現役を引退すると、出身である同志社大のコーチを務めた後、大学院に進み、スポーツを通じた国際交流などを研究。現在は流通経済大学の准教授として「開発のためのスポーツ」を専門に研究を続けながら、日本ラグビーフットボール協会普及競技力向上委員会国際協力部門長や、国際協力機構であるJICAの技術専門員としても精力的に活動している。


 今でも向山氏が研究を続けているテーマが「ラグビーを通じた開発」だ。それはどういうことか、向山氏はこう説明する。


「日本でいうと、国際協力とすごく重なる部分があると思います。たとえば発展途上国の困難な状況にある人に資金や住まい、薬などを提供するという協力の形がありますが、それと同じような意味です。困難な状況にある人たちが、“現状よりもより良い状態”に向かって進む努力に対する外部からの介入。それを開発と呼んでいます」

「競技力の向上」以外のためにもラグビーを使う

現役時代は国内を代表するセンターとして活躍した向山氏
現役時代は国内を代表するセンターとして活躍した向山氏【スポーツナビ】

 そうした開発を実現していくために向山氏が取り組んでいる活動は、主に下記の3つだ。


1.「アジアンスクラムプロジェクト」

2.スポーツを通じた異文化理解

3.ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催についての研究


 1番目のアジアンスクラムプロジェクトは11年に設立され、“アジアのためのW杯”の実現、そして20年の東京五輪以降のアジアラグビーの発展を目的として活動している。JICAと日本ラグビー協会の協力のもと、日本から青年ボランティアを発展途上国に派遣し、ラグビーの普及に取り組むプロジェクトなどを行っている。また、ASEAN11カ国の子どもたちを日本に招き、ラグビーを使った異文化理解にも取り組んでいる。日本を含めて合計12カ国の子どもたちでチームを作ることで、言葉の通じない中で全員の力を合わせて勝つために意図を通じ合わせる狙いがある。


 2番目については向山氏が09年に設立した「一般社団法人子どもスポーツ国際交流協会」を中心に活動している。友人から「タイの子どもたちが日本に来たがっている」と言われ、日本に招いてラグビースクールで交流をしたのが設立のきっかけになった。


 この社団法人を運営する目的について、向山氏はこう語る。


「競技力向上もすごく大事ですが、ラグビーへの参加は、それだけでなく違った方法もあります。健全な心と身体を生み出し、それを活力に満ちた社会のために活用できる。そういった参加の方法があるということを子どもたちに伝えるのが目的です」


 特に力を入れているのが「交流の中で異文化理解を図る」という点だ。


「たとえば食事の時、タイのカレーと日本のカレーを作って食べ比べをしたりしています。日本の子たちはタイのカレーを食べて『味が分からない、痛い』と言っている横で、タイの子たちはそれをバクバク食べている。そういう異文化を肌で感じることが大事だと思うんです」


 ラグビーだけでなく、食事など普段の生活からも日本とは違う文化を感じることは非常に大切なことだと、向山氏は力説した。

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