連載:日本バスケの歴史を変える男の物語

八村塁の運命を変えた親友の熱意 “しつこい”勧誘に負けてバスケの道へ

丹羽政善
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陸上は全国大会、野球も「すごかった」

八村塁(中央下)の原点は、バスケを始めた富山市立奥田中学にある。ここから運命は大きく動き出した 【写真提供:岡山翔太郎さん】

「原風景ですか?」

 あるとき八村塁にバスケットボールの原風景を聞くと、少し考えてから、こう振り返った。

「今思い浮かんだのは、野球をやっているときに、家にバスケットボールも置いてあって、それでドリブルをついていたなというのが……」

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 小学生の頃の記憶だという。

「ゴールとかもなかった。ただ、ドリブルしていただけ。だから、ただの遊びです。バスケという感覚はなかったと思います」

 八村は当時、野球と陸上に熱中していた。

「陸上で全国大会へ行ったんですよ。富山県で新記録を出したりしていました」

 短距離で?

「僕、長距離に見えます?(笑)」

 八村は小学5年生のとき、100メートルで富山県大会を制した。国立競技場で行われた第24回全国小学生陸上競技交流大会では、予選2組で3位に入ると準決勝に駒を進めるも、6位に終わっている。

 野球は「小学校1年から6年まで続けた」と八村。しかし、投げる球が捕手が捕れないほど速かった。

「大変でしたよ。結構、すごかったらしいです(笑)」

 仕方がなくキャッチャーをやっていたが、「なんか、違うなあって」。中学に入る頃には、陸上に気持ちが傾いていった。

 ただ、そのことはひょっとしたらおじいちゃんを悲しませたかもしれない。
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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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