トレーニングを1日も休んだことがない
動き続けた巻誠一郎が突如止まった日

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来季に向けてトレーニングを続けていたという巻誠一郎。なぜ引退に気持ちが傾いたのか、その胸中を聞いた
来季に向けてトレーニングを続けていたという巻誠一郎。なぜ引退に気持ちが傾いたのか、その胸中を聞いた【撮影:熊谷仁男】

 日本サッカー全体を右肩上がりにした大物プレーヤーたちの引退表明ラッシュが一段落した1月半ば、突如として巻誠一郎が現役引退を発表した。確かに2018シーズンは出場時間が急減したが出場試合数は多く、肉体的にも衰える兆候がないなかでの決断。故郷のロアッソ熊本に移籍後、クラブの顔として認知をさらに高めてきた元サッカー日本代表が突然とも思える引退を決めたその背景には何があったのか。

 じっくりと腰を落ち着けて話す席を設け、あらためて引退の発表に至る経緯を探った。

やり残したことはいっぱいある

ロアッソ熊本での5年間、巻誠一郎は休まずに走り続けた
ロアッソ熊本での5年間、巻誠一郎は休まずに走り続けた【写真:アフロスポーツ】

──2014年末にロアッソ熊本の応援番組で「ボロボロになるまでやりたい」と仰っていましたが、この頃と考えは変わりましたか?


 まったく変化はないですよ。擦り切れるまでやりたいという想いは変わらずありました。だから引退会見でも「悔いはある。やり残したこともいっぱいある」という発言になったのだろうな、と。でも、その会見でも言いましたけれども、自分の価値がなくなったらやめようとは熊本に移籍した時に決めていたので。そのタイミングがいまかな、と。


──チームをひとつにするべく貢献できなかったことも、引退を決断した一因であったと。なぜまとめられなかったのでしょうか?


 その原因がわかって解決できていれば、たぶん僕はやめていないと思います(苦笑)。そういう意味で、チームは生き物だと思っています。いい時は、ひとりでによく回る。うまくいかなかった時に、チームとして何ができるか、個人として何ができるか。いままでであれば自分の個性を発揮してチームを引っ張っていくこともできたと思いますし、僕は選手なのでピッチでそれを表現することが最大の貢献だと思っていました。けれども、昨年は出場機会も少なくなった。勝負が決まった後に出ることがほとんどで、ピッチのなかで還元できない、そのことも手伝って引退という決断に至りました。


──周囲のみなさんからは「まだ若い」と、余力を残していると言われたと思うのですが。純粋にフィジカル自体はどうなんですか?


 熊本に来てからの5年間は、トレーニングもほぼほぼ──というかほとんど休んでいないんじゃないでしょうかね。


──ほとんどフルメニューですか?


 フルメニューを5年間こなしましたね、ほぼ。それも18歳、19歳と同じメニューをこなせますし、彼らと戦い、競争していました。その意味では情熱もありましたし、「若いやつには負けない」という気持ちはやめる時にもありましたからね。そういう熱いものは持っていますよ、いまだに(笑)。だからできるかできないかって言われたら、まだまだ、僕自身はあと5年はできたなと思っているので。


 だから「やり残したことはたくさんある」んです。そして、ああいう会見になったんでしょうね。

後藤勝

サッカーを中心に取材執筆を継続するフリーライター。FC東京を対象とするWeb/メールマガジン「トーキョーワッショイ!プレミアム」(http://www.targma.jp/wasshoi/)を随時更新。著書に小説『エンダーズ・デッドリードライヴ 東京蹴球旅団2029』(カンゼン刊 http://www.kanzen.jp/book/b181705.html)がある。【Twitter】@TokyoWasshoi

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