連載:道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔

大谷への提案資料『夢への道しるべ』舞台裏 未公開ページ「琵琶湖」の意味

佐々木亨
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異色のスカウトが持参した「提案資料」

大谷とその両親のために日本ハムが用意した。『大谷翔平君 夢への道しるべ』。その大部分は公開されているが、未公開ページの1ページに琵琶湖の写真が添付されていたという 【写真は共同】

 11月10日には、全26ページに及ぶ独自資料を持って球団は両親のもとを訪れた。『大谷翔平君 夢への道しるべ』と題したその資料は、パワーポイントを駆使して大渕が中心となって作成したものだった。

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「私が以前にセールスの仕事をしていたときの話なんですが、たとえば自分たちが良いものを作ったからと言って、それを押しつけて『いいものだ、いいものだ』と売り倒す、または押し倒すのではなくて、相手が何を求めているのかをまずは把握する。そこに適切なものを提案する。いわゆる『提案型営業』というものを当時の私は教わりました」

 大渕は、新潟県の十日町高校から早稲田大学野球部を経て日本IBMに入社。その後、高校教師を経てプロ野球のスカウトに転身した異色の経歴を持つ。大谷との交渉では、かつて企業で養ったノウハウを活用して独自資料を作った。

「球団内部の方や知人を通じて情報を集めながら作りました。ですから、『僕が』というよりは、みんなで形にしたという感じです」

 実は、その資料を作ったわけには大谷の両親の存在も深く影響していた。
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著者プロフィール

1974年岩手県生まれ。スポーツライター。雑誌編集者を経て独立。著書に『あきらめない街、石巻 その力に俺たちはなる』(ベースボール・マガジン社)、共著に『横浜vs.PL学園 松坂大輔と戦った男たちは今』(朝日文庫)、『甲子園 歴史を変えた9試合』(小学館)、『甲子園 激闘の記憶』(ベースボール・マガジン社)、『王者の魂』(日刊スポーツ出版社)などがある。主に野球をフィールドに活動するなかで、大谷翔平選手の取材を花巻東高校時代の15歳から続ける。

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