箱根有力校の“戦力補強”状況は? 高校生ランナーの進路から占う
東海大や青山学院大、東洋大など、箱根駅伝に出場した各大学の新戦力の顔ぶれは!? 【写真は共同】
では、今回の箱根駅伝に出場した大学の戦力補強状況はどうなっているのか。この春に進学する有力高校3年生の進路を紹介するとともに、箱根駅伝において新入生の入学状況はどこまで成績に影響しているのか、過去4年間のデータをもとに検証する。
新年度スカウティング1位は青山学院大
その一方で、東海大の優勝は必然だという見方もある。というのも現3年生世代はスカウティングの“当たり年”で、多くの高校トップランナーがこぞって東海大に進学。彼らが上級生になる頃には東海大が学生長距離界を席巻するのでは……と当初から評判だった。実際にはライバル校の成長もあって独壇場とまではいかなかったが、スカウティングによる大量補強が東海大に初優勝をもたらしたのは間違いないだろう。
では、今の高校3年生の進学状況を見てみると、新年度の補強は青山学院大の充実ぶりが際立つ。すでに合格発表が終わっている大学のみの比較となるが、即戦力またはそれに準じる実力者と言える“5000メートル14分20秒以内”の自己ベストを持つ選手が、青山学院大は全大学で最多の8人。12月の全国高校駅伝(以下、都大路)では準エース区間の4区で区間2位(日本人最上位)を占め、1月20日の全国都道府県対抗男子駅伝でも4区区間賞と活躍した横田俊吾(学法石川高・福島)、都道府県駅伝1区9位の岸本大紀(三条高・新潟)、都大路4区5位の大澤佑介(樹徳高・群馬)、同7位の宮坂大器(埼玉栄高・埼玉)、同3区10位の関口雄大(豊川高・愛知)ら、タイムだけでなく実績も伴う選手が多数入学する。
次いで有力選手が多いのは東海大で、14分20秒切りは飯澤千翔(山梨学院高・山梨)、宇留田竜希(伊賀白鳳高・三重)、松崎咲人(佐久長聖高・長野)、濱地進之介(大牟田高・福岡)、國分駿一(学法石川高・福島)の5人。松崎は2017年都大路優勝メンバーで、将来のエース候補の一人。濱地も都道府県駅伝5区5位、國分は都大路7区5位とそれぞれ好走している。記録(14分06秒29)でトップの飯澤はインターハイ1500メートル7位のスピードを持ち、5000メートルでも決勝に進出(16位)するなどポテンシャルが高い。このほかにも14分30秒を切る選手が5人おり、粒ぞろいの戦力だ。
世代最速の青森山田高・田澤は駒澤大へ
高3世代でただ1人13分台の記録を持つ青森山田高の田澤廉(左端)は駒澤大へ進む。写真は2017年愛媛国体のもの 【写真は共同】
その他の有力選手は国学院大に中西大翔(金沢龍谷高・石川)、順天堂大には長山勇貴(水城高・茨城)と伊豫田達弥(舟入高・広島)、中央大は梶山林太郎(世羅高・広島)、今回の箱根駅伝予選会で落選した創価大には葛西潤(関西創価高・大阪)と濱野将基(佐久長聖高・長野)の14分ひとケタ選手がそれぞれ加入し、即戦力として活躍しそうだ。