ファジーカス「もう一度41点取りたい」 バスケ代表、W杯予選6連勝で出場圏内に

スポーツナビ
 バスケットボール男子日本代表は12月3日、FIBAワールドカップ(W杯)のアジア2次予選でカザフスタン戦に臨み、86−70で勝利。会場となった富山市総合体育館に詰め掛けた4193名のファンが終始チームを大きな声援で後押しして、チームの勝利をサポートした。

 第1クォーター(Q)はカザフスタンが5本の3ポイントシュートを決めるなど、思い切りのいいプレーで日本を圧倒する場面があった。リバウンドでも日本の15本に対して25本を獲得し、25−19とリードを奪った。しかし、第2Qに入ると日本のマンツーマンディフェンスのプレッシャーがアップ、カザフスタンにイージーシュートを許さなくなる。日本はニック・ファジーカスがオフェンスリバウンドをねじ込み逆転に成功すると、その後は互いに点を取り合い、日本が34−33と1点リードで試合を折り返した。

 第3Q、日本はカザフスタンのアタックに手を焼き、ファウルを重ねてしまう。カザフスタンはこのQだけで10本のフリースローを沈めて日本に食らいつく。しかし、第4Qに入ると、この試合で41得点を挙げたファジーカスにボールを集めた日本が次第にリードを広げていった。終わってみれば17点差をつける快勝。この結果、日本はW杯予選で6連勝を果たすとともに、グループF3位に浮上。W杯本戦に向けて一歩前進した。

ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)

41得点を挙げたファジーカスは「超うれしい!」と喜びを爆発 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

「超うれしい!」

 カタール戦の出来がは良くなかったので、今日はしっかりしないといけないと思っていました。(日本語で)「超うれしい!」。自分のことよりもまずW杯出場を決めるために勝たないといけない試合だったので良かったです。

(Window5を振り返って)勝たなければいけない2試合でした。これで6連勝ですし、初めの4連敗に比べたらチームもすごく良い状態です。

(Window6に向けて課題や成長したい部分は?)もう一度41点取りたいですね。残り2勝してW杯に出たいと思います。課題と成長というよりは、まず勝たないといけないことが全てだと思います。試合まで2カ月ありますが、Bリーグのシーズンをしっかりこなしながら代表の合宿に入ってアウェーでの2試合になるので、今度も難しい試合になります。でも、勝ちにいくだけだと思っています。

富樫勇樹(千葉ジェッツ)

富樫は「最後まで崩れなかったこと」を勝因に挙げた 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

「最後まで崩れなかったことが勝因」

 カタール戦とカザフスタン戦は、最後まで崩れなかったことが勝因だと思います。今日の試合はコンディションとしてはあまり良くない中、自分のできることをやるだけだったので。まさかこんなに出場時間が多いとは思っていなかったですが、この2試合に勝つためにずっと準備をしてきたので、与えられた時間は全力でプレーできたと思います。

(足の状態は?)良い状態とは言えませんが、またしっかり治療と足のケアをしながら戦えたらと思います。

(この勝利は日本代表にとってどのような勝利か?)五輪とW杯という2つの大会出場に本当に近づけた2勝だと思います。渡邊(雄太)選手、八村(塁)選手がいなくて心配という声もあったと思いますが、しっかり全員で戦い切って勝てたことが僕としてはうれしいです。次はアウェーでの戦いということで、これまで以上に大変な試合になりますが、しっかり準備して戦えたらと思います。

(フリオ・ラマスヘッドコーチからのハーフタイムの指示は)しっかり我慢できているから、ここから1つギアを上げていこうという話はありました。戦術面ではニックが当たっていたので、そこのミスマッチを突くということ。そこは全員が試合を通して意識できていたところだと思います。

(この2連戦の手応えと課題は?)我慢できることで、大きく崩れて走られる場面がなくなってきたことが一番の成長です。勝ちにもっていける時間帯、今日で言えば第3Qの終わりから第4Q最初にかけて点差を広げられたことは評価できる点だと思います。前半、あのような展開になった理由というのはオフェンスリバウンドだったと思うので、常に日本はサイズで劣るわけですから、技術ではなく意識の問題。一人一人の意識を高めていきます。

田中大貴(アルバルク東京)

前半の苦しい展開を「後半修正できた」と田中 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

「後半は修正できた」

 前半は相手に外のシュートを決められてしまったりオフェンスリバウンドを取られたりして、やられてはいけないところで、やられてしまって競った展開になりました。しかし、後半はそこを修正して、カタール戦同様にディフェンスからオフェンスに良い流れを持ってこられたと思います。

(Bリーグでの戦いで生きた部分は?)自分のチームで求められている激しいディフェンスは、自分と雄大が一緒に出た時は代表のディフェンスに貢献できていると思います。後はオフェンスの部分でニックが今日は点を取っていますが、今後スカウティングされるでしょうし、そうなった時にどれだけ自分たちがチームを引っ張っていけるか、少ないチャンスで確率良くよく決めていけるかという成長を求められていると思います。それが自分の今の課題だと思います。

(Window6に向けた意気込みは)自分のチームに帰ってしっかりプレーしなければいけないとは思いますが、頭の片隅に次のイラン戦などを残しながら、そこでまたチームに貢献したり活躍するためには何が必要かを常に考えたいです。両立することはなかなか難しいかもしれませんが、どっちでもベストを尽くせるように、日ごろの練習から取り組んでいきたいと思います。

比江島慎(ブリスベン・ブレッツ/オーストラリア)

「勝負所は自分で攻めるつもりでいた」と試合を振り返った比江島 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

「勝負所は自分で攻めるつもりでいた」

 勝負所はやっぱり自分が攻めるという気持ちでいたし、チームもそれを選択してくれたので、期待に応えたかったです。(今日の試合も)ベンチでも休む時間が多くて最後の最後だけ良い所を持っていってしまった感じです。試合を通して全員がディフェンスで頑張っていて、自分はオフェンスで応えるだけだったのでうまくいって良かったです。

(前半リードして終えて、3Qで追いつかれそうになったが)1試合は40分間なので、流れというものがあると思います。それでも最後の最後は自分たちの流れに持ってこれたので、そこは良かったと思います。

(カタール以上にフィジカルが強い相手だったが、ディフェンスの対応はオーストラリア戦を経験していて良かった?)ポストムーブなどはオーストラリアの方が強いし技術があるので、そういう部分は良い教訓になったと思います。でも、今日の試合でもみんな苦しんではいたので、アジャストしていかないといけないなと思います。

(オーストラリアに行って見えたことは)オーストラリアは個人個人の能力が高く、代表戦で「もう1回勝て」と言われたらどうなるか分からないでしょう。個人のレベルが違うことは肌で感じましたし、そこをレベルアップする必要もあるのかなと改めて感じました。(渡邊)雄太や(八村)塁なら同等にやれると思いますが。

(今日の勝利でグループ3位に浮上したが)(本戦出場が)見えてはきたのですが、やっぱり目前の試合に集中したいと思います。次はアウェーで2試合ですが、本当に厳しい戦いになると思うので、そこはしっかり意識して準備していきたいと思います。またオーストラリアに帰って、日本のために成長して帰ってきたいと思います。

馬場雄大(アルバルク東京)

馬場は「ダンクよりもその前の過程が大事」とコメント 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

「ダンクよりもその前の過程が大事」

 カタール戦同様、前半は重い展開になりましたが、後半で切り替えて僕たちのバスケットボールができました。ここで2連勝できましたが、今後もハードな試合が続くので油断せず、日々の合宿だったり練習に励んでいきたいと思います。

 この2戦は雄太さんや塁のウィング陣がいなかったので、残ったメンバーでの得点が鍵になると、ラマスHCに言われていました。それについては積極的にアタックにいけましたし、周りを見ることもできました。オフェンス、ディフェンスでもちろん収穫がありましたし、この感覚を忘れずに次のWindowにつなげていきたいです。

(Bリーグでの経験で生きた部分は)アルバルク東京ではピック&ロールがメーンのオフェンスになりますが、ラマスHCのバスケも同じなので、うまく順応できています。その場面での状況判断を常にルカ(・パヴィチェヴィッチ)HCにも言われていますし、アジャストできたのかなと思います。ディフェンスでも常にハードにやっているので、個人的にはやれたと思いますし、今日は結果にもつながったので、良いバスケができました。

(第3Qのダンクシュートはどんな感触だったか?)走ることがラマスHCの僕に求める役割だと思うので、その中で最終的にダンクに持っていけただけの話です。ダンクよりもその前の過程が大事だと思っています。ダンクでチームに勢いが出ると思っているので、「いけたらいく」というスタンスで常にプレーはしていますが、結果についてはあれこれ考えていません。

(Window6に向けた意気込みは)Bリーグのシーズンは続きますし、アルバルク(東京)のバスケと代表のバスケは違うので、そこの切り替えは必要だと思っています。ただ内容はどうであれ、勝ちにこだわってやりたいというのが、今の素直な気持ちです。

(取材協力:バスケットボールキング)
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