ラマスHC「明日の試合に勝つのみだ」 W杯2次予選 カザフスタン戦前日コメント

スポーツナビ
 バスケットボール男子日本代表は、富山市総合体育館で「FIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)2019 アジア地区 2次予選」のWindow5(11月30日/カタール戦、12月3日/カザフスタン戦)に臨む。カザフスタンとの一戦を翌日に控えた男子日本代表は、2日、試合会場となる富山市総合体育館のメインアリーナで調整を行い、その後にフリオ・ラマスヘッドコーチ(HC)が取材に応じた。

 11月30日のカタール戦に85−47で勝利して、アジア1次予選から続く連勝を5に伸ばした男子日本代表。今回対戦するカザフスタンとは9月にアウェーで顔を合わせており、その際は85−70で勝利した。それだけに悲願のW杯出場に向けて、是が非でも勝っておきたい相手だ。

 そのカザフスタンはグループEの3位につけるフィリピンをアウェーながら92−88の大接戦で破って日本にやってくる。ラマスHCは「カザフスタンも(W杯の)出場権獲得のためにすべてを懸けてくるだろう。日本は良い内容の完璧な試合をしなければ勝てないと思う」と警戒の色を深める。しかし、「明日の試合に勝つのみだ」と、ラマスHCは強い言葉を使いながらも、平常心を保った冷静な表情を見せていた。

「カザフスタン戦への準備を進めている」

カザフスタン戦の前日練習後、会見に臨んだフリオ・ラマスヘッドコーチ 【バスケットボールキング】

――カザフスタンがフィリピンを破った試合では、3ポイントシュートで勢いに乗っていた。それを打たせないディフェンスの重要性をどう考えているのか?

 カザフスタンはファストブレーク(速攻)を繰り出してよく走ってくるチームだ。早い展開から3ポイントシュートを打ってくることもあるし、ピック&ロールからでも同様だ。またオフェンスリバウンドについても注意しなければいけない。まるでそれを自分の仕事のように徹している選手もいて脅威だ。このようなポイントを選手たちに伝えている段階で、それに対する準備を進めている。

――「どうすれば勝てるのかが分かってきた」とコメントをする選手が出てきているが、チームがどのように成長していると感じているか?

 HCに就いてから常に選手とコミュニケーションを取って、自分の考えることを伝えようとしてきた。もちろんチームを勝たせることが私の仕事であり、その義務を果たすためには欠かせないことだと思っていた。チームを見始めた当初は、言葉の壁や文化の違いもあった。日本語からスペイン語、日本語から英語というように通訳を介さなければいけないので、互いのことを分かり合えるには時間がかかったりもしたが、すぐにはできないと最初から思っていた。

 これまでの時間で、自分の考えていることを選手やスタッフにどのように伝えればいいのかを学んだとも言える。ただもっと近くで絆を深めなければいけないと思う。また、選手一人一人へのアプローチの方法も違うものだ。その選手のスイッチがどこにあるのかを探すことから始めなければいけない。それを探してからコミュニケーションを取るようにしている。

 来日して1年以上が経つが効果は出てきている。覚えているのが初めてチームの指揮を執った17年8月のベイルートでのアジアカップの時、(篠山)竜青に男の子が産まれたこと。今では代表活動の際にはその子がどれくらい成長したのかを動画で見せてくれるようになった。このような関係性は1日、2日では構築できないものだ。

篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)

「激しいディフェンスが自分の仕事」と篠山竜青 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

――カザフスタンに向けての意気込みは?

 明日の試合がW杯出場に向けて重要な試合であることは分かっています。またW杯予選では日本で行う最後の試合なので、結果を残したいという気持ちは強いです。カタール戦で富樫(勇樹)選手がケガをしましたが、自分の仕事は変わりません。激しいディフェンスからチームに勢いを呼び込むことです。

――日本が一番良くなっていると感じていることは?

 多くの点で成長していると思いますが、一番はディフェンス。データ的にも失点を抑えられるようになっているのが分かります。ファストブレークからイージーに点を取れることも増えてきて、ディフェンスについては自信がついてきていると感じています。

――カタール戦とは試合展開が変わると思うが、チームがうまくいかない時、苦しい場面で自分の仕事は何だと思っているか?

 どんな展開になろうとも、自分がコートに立てばディフェンスのインテンシティを保って、チームのスイッチを入れることが役割です。苦しい時こそディフェンスからリズムを作るのが自分の仕事。またオフェンスではいつも正しくプレーすることを心がけています。ノーマークであればシュートを狙う。ノーマークの人にパスをする。どれだけ心を折らずに、それらをやり抜くのかが大事だと思っています。

竹内譲次(アルバルク東京)

竹内譲次は「今、日本のバスケ界は分岐点に立っている」と感じている 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

――カザフスタン戦への意気込みは?

 最終的な目的であるW杯の出場権を獲得するためにも、今、カザフスタンとは勝ち星で競い合っている状況であり、また、結果にもよりますがグループEの4位と出場を争うこともあるので、この予選では最も重要な試合になると思っています。カザフスタンとアウェーで戦った時の印象は、ペイント内はフィジカルに対峙(たいじ)してきて、ガードの選手はスキルも持っています。この前のカタール戦のような展開にはならないと思っているので、短い期間でしたが準備してきたディフェンスをしっかり発揮することが大切だと思っています。

――0勝4敗から5連勝して初めて勝ち越したことをどう思っているか?

 もちろんそれには素晴らしい2人(渡邊雄太、八村塁)の活躍があったからだと思います。若い彼らの未来が日本のバスケットボール界のモチベーションになっているとも言えるでしょう。今、日本のバスケットボール界は分岐点に立っていると思います。W杯に出られるかどうか。引き続き気を抜かず、戦い続けたいと思っています。

(取材協力:バスケットボールキング)
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