組織委員・寺廻氏が語るラグビー普及活動 W杯に向け子どもたちが楽しめる企画続々
RWC組織委員会の寺廻健太氏がラグビー普及をテーマに講演を行った 【スポーツナビ】
今回は「RWC2019に向けたラグビー普及」をテーマに、公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会の寺廻健太氏を招き、ラグビージャーナリスト・村上晃一さん進行のもと講演が行われた。
高校日本代表でキャプテンを務め、早稲田大時代は五郎丸歩(ヤマハ発動機ジュビロ)や畠山健介(サントリーサンゴリアス)らとともに汗を流した寺廻氏。卒業後は一般企業に就職し10年間勤めるも、15年W杯での日本代表の活躍に刺激を受け、「頑張っている現役やラグビー自体に何か還元できないか」と考えた末に、再びラグビーの世界に舞い戻った。ラグビーに懸ける思いは人一倍強い。そんな寺廻氏からラグビー普及の実例が紹介された。
大きなきっかけとなった2015年
2005年、早稲田大時代の寺廻氏(赤と黒のユニフォーム)。高校日本代表の主将も務めるなど、第一線で活躍した 【写真:アフロスポーツ】
日本ラグビーはかつて「各世代で元気がなく右肩下がり」であり、人気が下火になっている状況が続いたが、15年を境に風向きが変わった。日本代表のW杯での活躍を見た若い世代、とりわけ小学生以下の登録プレーヤー数が上昇したのだ。それまでは17000人前後で推移していたのが、18年現在は22000人にまで増え、約5000人も上積みされた。寺廻氏いわく「各ラグビースクールにお子様が殺到し、スクールによっては手の回らないくらい」人気が沸騰したという。
「今後の日本ラグビーを背負っていくかもしれない、ゴールデンエイジになる可能性がある世代」と力を込める寺廻氏。普及を長期的に考えたとき、そして将来的な競技力強化を踏まえたとき、やはり若年層へのアプローチは必須である。「われわれとしてもここの子どもたちに対してどういったケアができるか、どういった環境を準備してあげることができるかというのが非常に重要になってくる」とも加えた。
講演では “ゴールデンエイジ”に向けて実際に行われている施策が紹介された。
子どもたちが楽しめるさまざまな施策
「スクラム先生プロジェクト」では特別体験授業などを通して、ラグビーを身近に感じてもらう試みがなされている 【写真提供:日本ラグビーフットボール協会】
多感な時期にトップ選手と交流することは貴重な体験であり、ラグビーに向かう大きなきっかけになる。「スクラム先生プロジェクト」では特別体験授業などを通して、選手と子どもたちがふれあうイベントも行われており、体格のいい現役選手がイベントに出ると、子どもたちが大喜びで腕にぶら下がる光景が見られる。また、子どもたちはトップ選手の力強く素早いプレーを食い入るように見つめ、目を輝かせているという。
さらにラグビーW杯12開催都市のラグビースクール178校の協力の下、「一斉体験会2018」も行われ、約3000人もの未経験者が実際にラグビーを体験した。子どもたちも多く参加したこのイベントは春先に行われたが、「就学時期になって学校が始まってどういったスポーツをやろうかと判断をする時期でもあるので、そのタイミングでラグビーに触れていただこう」と寺廻氏は企画の意図を明かした。このように、少しでもラグビーの発展につながるよう、さまざまな工夫がなされている。
「放課後ラグビープログラム」ではスキルアップの機会と、学校にラグビー部がない子どもたちへの選択肢を提供している 【写真提供:日本ラグビーフットボール協会】
このように、ラグビーを気軽に身近に感じてもらうための草の根レベルでの施策が多く行われており、子どもたちにとっても貴重な機会を提供している。しかし、こういった取り組みがあまり知られていない現実もある。
「どんなことが各地域で行われているのか見えていないところがある。できるだけ拾い上げて紹介していく」と認知向上に意欲を見せた寺廻氏。1年後に迫ったW杯に向け、さらなる普及に努めていく。
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放課後ラグビープログラム、生徒募集
JRFU放課後ラグビープログラムは平日の放課後に開催されるラグビー教室で、ラグビーに興味がある方から、もっとプレーをしたい経験者まで参加が可能。
兵庫県神戸市クラスは神戸親和女子大学ラグビー部の協力のもと開催され、指導者は元ラグビー日本代表の平尾剛さんが担当する。
◆兵庫県神戸市女子クラス開催概要
経験 :不問
対象年齢 :小学5年生〜中学生
開催場所 :神戸親和女子大学鈴蘭台キャンパス内グランド(〒651−1111 神戸市北区鈴蘭台北町7丁目13−1)
開催開始日 :10月1日(月)から全10回のプログラム
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