組織委員・寺廻氏が語るラグビー普及活動 W杯に向け子どもたちが楽しめる企画続々

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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

RWC組織委員会の寺廻健太氏がラグビー普及をテーマに講演を行った 【スポーツナビ】

 公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団と、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会が主催する「みなとスポーツフォーラム 2019年ラグビーワールドカップ(RWC)に向けて」の第86回が8月27日、東京都港区のみなとパーク芝浦で行われた。

 今回は「RWC2019に向けたラグビー普及」をテーマに、公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会の寺廻健太氏を招き、ラグビージャーナリスト・村上晃一さん進行のもと講演が行われた。

 高校日本代表でキャプテンを務め、早稲田大時代は五郎丸歩(ヤマハ発動機ジュビロ)や畠山健介(サントリーサンゴリアス)らとともに汗を流した寺廻氏。卒業後は一般企業に就職し10年間勤めるも、15年W杯での日本代表の活躍に刺激を受け、「頑張っている現役やラグビー自体に何か還元できないか」と考えた末に、再びラグビーの世界に舞い戻った。ラグビーに懸ける思いは人一倍強い。そんな寺廻氏からラグビー普及の実例が紹介された。

大きなきっかけとなった2015年

2005年、早稲田大時代の寺廻氏(赤と黒のユニフォーム)。高校日本代表の主将も務めるなど、第一線で活躍した 【写真:アフロスポーツ】

 来年の9月に迫ったアジア初となるW杯日本開催に向け、組織委員会は「Impact Beyond2019」というプロジェクトを立ち上げ、ラグビーの普及発展に努めている。そのなかの大きな柱のひとつが日本におけるラグビー振興である。

 日本ラグビーはかつて「各世代で元気がなく右肩下がり」であり、人気が下火になっている状況が続いたが、15年を境に風向きが変わった。日本代表のW杯での活躍を見た若い世代、とりわけ小学生以下の登録プレーヤー数が上昇したのだ。それまでは17000人前後で推移していたのが、18年現在は22000人にまで増え、約5000人も上積みされた。寺廻氏いわく「各ラグビースクールにお子様が殺到し、スクールによっては手の回らないくらい」人気が沸騰したという。

「今後の日本ラグビーを背負っていくかもしれない、ゴールデンエイジになる可能性がある世代」と力を込める寺廻氏。普及を長期的に考えたとき、そして将来的な競技力強化を踏まえたとき、やはり若年層へのアプローチは必須である。「われわれとしてもここの子どもたちに対してどういったケアができるか、どういった環境を準備してあげることができるかというのが非常に重要になってくる」とも加えた。

 講演では “ゴールデンエイジ”に向けて実際に行われている施策が紹介された。

子どもたちが楽しめるさまざまな施策

「スクラム先生プロジェクト」では特別体験授業などを通して、ラグビーを身近に感じてもらう試みがなされている 【写真提供:日本ラグビーフットボール協会】

 予備知識のない子どもたちに、いかにして気軽にラグビーに触れてもらい、近くに感じてもらえるか。普及においてはそこが大きなポイントとなるだろう。身体接触の禁止といった簡素化されたルールで行う「タグラグビー」はその例のひとつで、15年の調査の結果、22000校の小学校の65.7パーセントで授業として行われているという。小学校におけるタグラグビーの認知度も8割を超えており、寺廻氏が「過去10年を見ても今までなかった大きな変化」と言うほど普及は進んでいる。

 多感な時期にトップ選手と交流することは貴重な体験であり、ラグビーに向かう大きなきっかけになる。「スクラム先生プロジェクト」では特別体験授業などを通して、選手と子どもたちがふれあうイベントも行われており、体格のいい現役選手がイベントに出ると、子どもたちが大喜びで腕にぶら下がる光景が見られる。また、子どもたちはトップ選手の力強く素早いプレーを食い入るように見つめ、目を輝かせているという。

 さらにラグビーW杯12開催都市のラグビースクール178校の協力の下、「一斉体験会2018」も行われ、約3000人もの未経験者が実際にラグビーを体験した。子どもたちも多く参加したこのイベントは春先に行われたが、「就学時期になって学校が始まってどういったスポーツをやろうかと判断をする時期でもあるので、そのタイミングでラグビーに触れていただこう」と寺廻氏は企画の意図を明かした。このように、少しでもラグビーの発展につながるよう、さまざまな工夫がなされている。

「放課後ラグビープログラム」ではスキルアップの機会と、学校にラグビー部がない子どもたちへの選択肢を提供している 【写真提供:日本ラグビーフットボール協会】

 しかし一方で課題もある。小学生にはラグビーが浸透してきてはいるものの、中学校の部活動でラグビー部がない場合が多く、他の競技に流れてしまう現状があると寺廻氏は指摘する。せっかく小学生に普及させても、継続させなければ普及の意味は薄れてしまう。そこで、中学校にラグビー部がない子どもたちへの選択肢として、「放課後ラグビープログラム」を提供している。これはトップリーグや大学の選手たちが中学生に対し、個人のスキルアップを目的とした指導を行うもので、現在は北海道から大分まで全国10カ所で開催されている。トップ選手からの指導は技術の向上はもちろん、ラグビーを続ける大きなモチベーションになるだろう。
 また、ラグビーと「音楽とダンス」を融合したエンターテインメント性の高いイベントを開催し、広くラグビーを認知してもらう試みも実施されている。ルールを簡素化し、フットサルコートで気軽にできる「Fives」はその一例で、その華やかさも手伝って子どもたちをはじめ、多くの人が足を止めて見学をしていたそうだ。トップ選手も参加し、その迫力に子どもたちも大きな歓声を上げていたという。

 このように、ラグビーを気軽に身近に感じてもらうための草の根レベルでの施策が多く行われており、子どもたちにとっても貴重な機会を提供している。しかし、こういった取り組みがあまり知られていない現実もある。

「どんなことが各地域で行われているのか見えていないところがある。できるだけ拾い上げて紹介していく」と認知向上に意欲を見せた寺廻氏。1年後に迫ったW杯に向け、さらなる普及に努めていく。

放課後ラグビープログラム、生徒募集

 スポーツ庁委託事業「2019年ラグビーワールドカップ普及啓発事業」平成30年度日本ラグビーフットボール協会(JRFU)放課後ラグビープログラム兵庫県神戸市女子クラス生徒募集のお知らせ。

 JRFU放課後ラグビープログラムは平日の放課後に開催されるラグビー教室で、ラグビーに興味がある方から、もっとプレーをしたい経験者まで参加が可能。
 兵庫県神戸市クラスは神戸親和女子大学ラグビー部の協力のもと開催され、指導者は元ラグビー日本代表の平尾剛さんが担当する。

◆兵庫県神戸市女子クラス開催概要
経験    :不問
対象年齢  :小学5年生〜中学生
開催場所  :神戸親和女子大学鈴蘭台キャンパス内グランド(〒651−1111 神戸市北区鈴蘭台北町7丁目13−1)
開催開始日 :10月1日(月)から全10回のプログラム

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