「強すぎ」ルメール絶賛レイデオロ秋盾V アーモンドアイとの対決は「頭が痛い」

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藤沢和雄厩舎、天皇賞6勝目

ルメール騎乗のレイデオロが天皇賞・秋を勝利! 【写真:中原義史】

 JRA伝統の秋の中距離頂上決戦、第158回GI天皇賞・秋が28日、東京競馬場2000メートル芝で行われ、クリストフ・ルメール騎乗の2番人気レイデオロ(牡4=美浦・藤沢和厩舎、父キングカメハメハ)が優勝。中団から豪快に末脚を繰り出し、昨年のダービー以来となるGI2勝目を達成した。良馬場の勝ちタイムは1分56秒8。

 レイデオロは今回の勝利で通算11戦7勝(海外1戦0勝)、重賞は5勝目。騎乗したルメールはこれで自身2度目の3週連続GI勝利となり、天皇賞は嬉しい初勝利。同馬を管理する藤沢和雄調教師は天皇賞6勝目となった。

藤沢和雄調教師は史上2位、現役トップの天皇賞6勝目 【写真:中原義史】

 なお、1馬身1/4差の2着にはジョアン・モレイラ騎乗の4番人気サングレーザー(牡4=栗東・浅見厩舎)、さらにハナ差の3着には川田将雅騎乗の6番人気キセキ(牡4=栗東・中竹厩舎)が入線。1番人気に支持されていたミルコ・デムーロ騎乗のスワーヴリチャード(牡4=栗東・庄野厩舎)は10着に敗れた。

後半ハイラップを難なく追走、ラスト3F33秒6!

前半平均ペースながら後半ハイラップという異質な流れを難なく追走したレイデオロ(前列青帽)、ラストは強烈な末脚を繰り出した 【写真:中原義史】

 GI全部勝つんじゃないの? レース後の検量室で田辺からそう祝福されたルメールは、笑顔でこう返していた。

「馬が強すぎる!」

 平成最後の秋の盾は、まさにこの言葉に集約されているのだろう。ダービー馬に対してなんとも失礼な話だが、あぁ、レイデオロってやっぱりとんでもなく強い馬なんだな、とサングレーザーの3連単1着固定馬券を握っていた僕としては、頭をガツンとやられたように改めて思い知らされた。

 レースはキセキが逃げて、レイデオロはちょうど中団の位置取り。

「レイデオロにとってスタートはすごく大切です。だから、そこはよく注意していました。でも、今日は4番枠スタートで偶数番。(後入れで)ゲートの中であまり待たされなかったから、それが良かったですね。いいスタートでした」

 ゲートにやや難のある同馬としては、文句なしの好スタートだったとルメール。逃げ馬不在だっただけに戦前は超スローペースも予想されたが、ミッキーロケット騎乗の和田が「思ったよりも流れた」と語っていたように、蓋を開けてみれば前半の1000mが59秒4。ハイレベルメンバーを思えば、平均ペースといったところか。数字の上ではそうなのだが、実はこれが曲者だった。

文句なしに“強いダービー馬”が帰ってきた! 【写真:中原義史】

 逃げた菊花賞馬キセキと川田は、誰も行く馬がいないから押し出されるように、ではなく「自分で組み立てていくレースを選択した」。ジョッキーがレース後に明かしたように、スタートから狙っての先手だった。それだけに、単に淡々と流れる平均ペースではない。1000m以降は11秒6−11秒3−10秒9と、後半に行くほどハイペースになっている。道理で1000m59秒4の割にレース終盤になっても隊列が縮まらず、むしろバラけたままのわけだ。このペースだと、中団より後ろの馬は追走だけでなし崩しに脚を使わされてしまう。それは「緩むところがなくて脚をタメられなかった」(武豊)、「4コーナー手前で急に手応えがなくなってしまった」(福永)という、2人のトップジョッキーのコメントからも明らかだろう。

 そうした絶妙な“末脚殺し”のラップに、難なくついていったのがレイデオロ、ということになる。最後の直線、キセキが後続を突き放しにかかり、これはこのまま押し切りかと思ったのも一瞬、ラスト200mを切ってからのレイデオロの差しは強烈過ぎた。数字こそ上がり最速はサングレーザーの33秒4に譲ったものの、それより2馬身ほど前にいたレイデオロも極限に近い33秒6の脚で上がっている。これでは“マジックマン”モレイラも「手応えが良くて、残り200mでもしかしたら(勝てる)と思ったけど、レイデオロが強かったよ」と完敗を認めるしかなかった。

厩舎の仕事が完ぺきだった

ルメールが一番の勝因に挙げたのは「厩舎の仕事が完ぺき」だったこと 【写真:中原義史】

 他馬とは1つレベルが違うかと思える強さに、鞍上ルメールが語った最大の勝因は“厩舎の力”だった。

「パドックでレイデオロを見たとき、完ぺきだと思いました。オールカマーではまだ完ぺきじゃなかったですけど、その後パワーアップして、馬がだんだん良くなっていきました。藤沢先生と厩舎スタッフの仕事が完ぺきでしたね」

 その藤沢和厩舎だが、実は1週前追い切りではゴール前で手綱を引いてしまい、さらに下馬するアクシデントもあった。藤沢和調教師自ら「心配した」というくらいだから、その影響を不安視されたが、「最終追い切りが終わった後に馬がすごく良くなった」と、杞憂に終わっていた。これもレイデオロ自身の強さもさることながら、東西きってのトップステーブルの仕上げの賜物だろう。藤沢和厩舎の底力、というものも改めて知る天皇賞・秋だった。

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