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原巨人に加わる「得点コーディネーター」
韓国で実績残した後藤孝志コーチ
試合前、ベンチで談笑する後藤コーチとその言葉に耳を傾ける斗山の打者たち
試合前、ベンチで談笑する後藤コーチとその言葉に耳を傾ける斗山の打者たち【写真:ストライク・ゾーン】

 今年の韓国・KBOリーグは斗山(トゥサン)ベアーズが圧倒的な打力で公式戦を制した。その斗山で打撃コーチを務めるのは野球ファンならなじみのある日本人だ。


 元巨人・後藤孝志、49歳。


 後藤と言えば「勝負強いバッティング」「代打男」「清原一派」といった現役時代の印象から豪快さをイメージする人は少なくないだろう。しかし実際に受ける印象はそれとは異なる。後藤は斗山で選手への細やかな目配りをはじめ、裏方さんへの配慮を欠かすことがなかった。時に炎天下でテレビカメラをセッティング中の放送局スタッフを見るや、すかさず飲料水を手渡す程の「気遣いの人」だった。


 後藤にその印象を伝えるとこんな言葉が返ってきた。


「気を遣っちゃうようになったのは、現役を辞めてからですよ」


 2005年に現役を引退した後藤はこれまでの13年間、どんな日々を過ごしてきたのか。

コーチは「頼まれてやるもの」

「現役を辞めたらコーチになれるものだと思っていました」


 後藤は引退当時をそう振り返る。しかしその考えはすぐに否定されたという。


「コーチは頼んでやるものではない。頼まれてやるものだ」。そう言ったのは自身の結婚式の仲人でもある、原辰徳監督(巨人)だった。


 後藤はこの言葉を受け、アメリカに渡りヤンキース傘下シングルAのタンパ・ヤンキース(現タンパ・ターポンズ)へコーチ留学した。


「何でも吸収しようと思ってバッティングのことだけではなく、野球のすべてを学びました。僕は左打ちだけど全体では右打者の方が多いのでノックを右でも打てるようにしたり、ヤンキースのコーチのマニュアルから得たものは多いです」


 気遣いの人になったのもこの頃からだった。


「海外に出ると自分がやっていることが間違っていないか気を遣うし、人に合わせなきゃいけないこともある。それは日本にいたら気が付かないことでした」


 後藤は13年にも渡米し、シングルAのスタテンアイランド・ヤンキースでコーチを務め、翌14年には巨人に復帰、育成コーチに就任した。引退後、アメリカでの経験を下地に指導者としてのキャリアを積んだ。しかしその大半は選手の育成で、勝負に関わるものではなかった。


 その間、後藤は試合を見ながら絶えずあるシミュレーションを繰り返していた。それは「自分が1軍コーチになった時にどうアドバイスし、どう状況判断をするのか」ということ。そして今年、それを発揮する場を得た。韓国での1軍打撃コーチ就任である。

室井昌也
室井昌也
1972年、東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。現在「室井昌也の韓国野球を観に行こう!」(ラジオ日本)に出演中。12月22日には斗山・後藤孝志コーチ(来季より巨人コーチ)をゲストに招くトークイベントを予定している。ストライク・ゾーン取締役社長。

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