ラ・リーガに“ロナウド・ロス”の影響 レアル、バルサ、他チームにも変化の兆し

ロナウドのユーベ移籍がもたらした変化

ロンドンでの授賞式に出席したレアル・マドリーの選手たち 【Getty Images】

 ロンドンで行われたザ・ベストFIFAフットボールアワーズ2018授賞式の翌日。レアル・マドリーの公式SNSには、昨季の最優秀選手賞に輝いたルカ・モドリッチ、最優秀GKのティボー・クルトワ、そしてベスト11に選出されたマルセロ、セルヒオ・ラモス、ラファエル・バランの5人がチームメートやスタッフと共に撮影した写真が掲載された。

「ファミリア・ブランカ(白の家族)」の和が強調されたこの投稿は、少し前にセルヒオ・ラモスが発したクリスティアーノ・ロナウドへの返答と無関係ではない。ユベントス移籍後、新天地を「他とは異なる家族のようなクラブ」と表現したロナウドに対し、レアルのキャプテンは「彼がロッカールーム内のことを言っているのか、執行部のことを言っているのか分からないが、みながこのクラブを家族のように感じている。それが近年の成功の要因だからね」と答えていた。

 こうしたやりとりも、ロナウドのユベントス移籍後に生じた変化を示す一例だ。所属した9シーズンのうちに獲得可能なあらゆるタイトルを獲り尽くし、キャリアの絶頂期を過ごしたビッグスターを失った影響は、レアル・マドリーのみならずラ・リーガ全体に表れ始めている。

 第一にラ・リーガは、個人レベルにおける最高峰のライバル関係を失った。その影響はレアル・マドリーのみならず、バルセロナを筆頭としたライバルクラブにも及んでいる。マシーンのようにゴールを量産し続けたポルトガル人クラックの脅威から解放されたことで、どのチームも「レアル・マドリーに勝つチャンスが増した」と感じ始めているからだ。

「唯一の競争相手」を失ったメッシ

ロナウドとメッシはよきライバルとして互いを高めあってきた 【写真:ロイター/アフロ】

 バルセロナについては、ロナウドの移籍がモチベーションの欠如までもたらしている可能性がある。最大のライバルがエースを失った今季は、少しアクセルを踏み込みさえすればラ・リーガを勝ち取ることができる。もしバルセロナにそのような考えがあれば、たとえどれだけスター選手をそろえたチームであっても、他チームに足をすくわれる恐れがあるだろう。

 対戦相手に勝つこと以上に、自分自身を上回るための戦いに明け暮れてきたリオネル・メッシにとっても、ロナウドは唯一の競争相手だった。もちろん、それで彼がゴールへの興味を失うことはないだろう。だがロナウドが3、4ゴールを決めた直後の試合ほど、彼が貪欲にゴールを求めたことも確かだ。

 終わりなき限界への挑戦を続けるため、2人は互いを必要としていた。ラ・リーガも過去10年にわたってイングランド・プレミアリーグと世界最高リーグの座を争うことができたのは、メッシとロナウドの頂上対決という“メインコンテンツ”があってこそだった。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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