「少数精鋭」の陣容を整えた今季のバルサ メッシが約束したCL制覇に向けて好発進

勝ち点、パフォーマンスの両面でライバルを上回る

好調バルサはリーグ開幕4連勝、CL初戦もメッシ(中央)の3発で快勝 【Getty Images】

 まだ全38節のうち4節を終えたばかりながら、早くもラ・リーガの首位争いはバルセロナとレアル・マドリーの2強が3位以下に差をつけ、例年通りの展開に落ち着きはじめている。とりわけアスルグラナ(バルセロナの愛称)は、ここまで楽な相手との対戦が続いているとはいえ、手にした勝ち点(12ポイント)、チーム全体のパフォーマンスの両面で、ロス・ブランコス(レアル・マドリーの愛称)を上回っている。

 バルセロナは昨季、すでにエルネスト・バルベルデの指揮下でラ・リーガを制しているだけに、首位に立っていること自体はさして目新しくはない。だが、今季はオフの間に余剰戦力を整理し、すでに十分高かったチームの戦力レベルをさらに高めることに成功している。

 その過程ではアンドレ・ゴメス、リュカ・ディーニュ、ジェリー・ミナ、パコ・アルカセルといったベンチ要員がチームを去り、一方で新たにアルトゥール、アルトゥーロ・ビダルらを獲得。さらにムニール・エルハダディとラフィーニャがレンタル先から復帰し、けがで昨季の大半を棒に振ったウスマン・デンベレも実質的な新戦力としてチームに合流している。

メッシが口にした「今季の最優先事項」

今季開幕前の親善試合ボカ戦でファンに「欧州制覇」を約束したメッシ 【Getty Images】

 ここまでラ・リーガで4勝を挙げた相手のうち、アラベス、バジャドリー、ウエスカは格下と言えるチームである。だが、9月15日(現地時間)の第4節、敵地アノエタでのレアル・ソシエダ戦は何年も前から苦手としていたカードであり、今回も早い時間帯にアリツ・エルストンドに先制ゴールを奪われる苦しい展開を強いられた。

 その後、手にしたルイス・スアレスとデンベレのゴールは、いずれも相手GKヘロニモ・ルッリのミスもあって生まれたものだった。3日後に控えていたPSVアイントホーフェンとのチャンピオンズリーグ(CL)初戦に向けてセルヒオ・ブスケッツとフィリペ・コウチーニョを温存し、右サイドバックにネウソン・セメド、中盤にラフィーニャとセルジ・ロベルトを起用した先発メンバーが十分に機能しなかったことも事実だ。

 さらにこの試合はエースのリオネル・メッシもいまいちなパフォーマンスに終始していたが、その点についても、直後にCLを控えていた影響があったかもしれない。彼は8月にボカ・ジュニオルスと対戦したトロフェオ・ジョアン・ガンペール前のプレゼンテーションにおいて、今季の最優先事項が何であるかをはっきり口にしていたからだ。

 過去5シーズンで、宿敵レアル・マドリーが4度もCLを制している一方、バルセロナは2014−15シーズンの優勝を最後に3季連続でベスト8敗退に終わっている。こうした状況下で、メッシは4季ぶりの欧州制覇に向けて「みんなが待ち望んでいるあの素晴らしいトロフィーを持ち帰れるよう、全力を尽くすことを約束する」とファンにメッセージを送っていた。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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