PG王国の琉球が地区連覇へリード B1リーグ開幕プレビュー 西地区編

カワサキマサシ

鉄壁の琉球がプレシーズンも好調

プレシーズンの結果を見ても琉球は西地区で頭ひとつ抜けた存在だと言えるだろう 【(C)B.LEAGUE】

 今季のB1西地区は、昨季在籍した西宮ストークス、島根スサノオマジックがB2に降格。昨季から引き続いての滋賀レイクスターズ、京都ハンナリーズ、大阪エヴェッサ、琉球ゴールデンキングスに、B2から昇格のライジングゼファー福岡、中地区から転籍した名古屋ダイヤモンドドルフィンズを加えて、計6チームで構成される。

 このなかで、頭ひとつ抜けた存在は琉球。昨季は2位の京都を8勝も上回る42勝を挙げて西地区を制したが、それでも今季に臨むにあたって飽くなき戦力補強を敢行する。昨季はチャンピオンシップ(CS)も含めて、全65試合にスターターで出場した岸本隆一を擁しながらも、橋本竜馬(前シーホース三河)、並里成(前滋賀)と国内トップクラスのガードを2人も獲得。司令塔役もこなせる石崎巧も残留し、質、量とも国内屈指のポイントガード(PG)王国になった。

 チーム編成上、2ガードでのゲーム運びが主となるだろうが、その狙いのひとつは守備時にスピードのあるガードの選手が前線からボール保持者を激しく追い、相手の攻撃の形を封じることにある。たとえ第一防衛ラインを突破されたとしても、積極的なディフェンスを仕掛けてタフショットに導き、昨季の島根で1試合平均10.8リバウンドを奪ったジョシュ・スコットらが控えるゴール下で、リバウンド勝負に持ち込む。

 このプレシーズンに行われたアーリーカップ関西でも、そのスタイルは効果的に機能し、準決勝の西宮戦は53失点・45リバウンド、決勝の大阪戦は62失点・39リバウンドと、いずれも相手を上回る数字をマーク。日本代表候補に選出されたアイラ・ブラウンに加え、新外国籍選手のジェフ・エアーズも欠いた状態で、優勝という結果を残した。これに続いて中国、韓国などアジア5カ国から計12のクラブチームが参加した国際大会Teriific12でも、4戦中2試合で相手を60点以下に抑えて優勝と、開幕に向けて上々の滑り出しを見せた。

 昨季リーグ最少の1試合平均67.8失点を誇った鉄壁のディフェンスにさらなる厚みを増した琉球が、守備を軸にした戦いで西地区をリードするだろう。

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追う大阪はゴールデンコンビ復活

 ストップ琉球の一番手に期待したいのは大阪だ。Bリーグ初年度の一昨季はエグゼビア・ギブソン、ジョシュ・ハレルソンの外国籍選手が軸になる働きをみせ、レギュラーシーズン最終戦まで琉球とCS進出を争った。しかし昨季は全員を入れ替えた外国籍選手3人が機能せず、開幕から低空飛行。シーズン途中で呼び戻したギブソンの活躍で、なんとか残留プレーオフを回避するのがやっとの不甲斐ないシーズンだった。

 今季を戦うにあたっての明るい材料はギブソンの残留と、昨季はサンロッカーズ渋谷でプレーしたハレルソンの復帰。さらには待望していた帰化選手であるファイパプ月留を獲得し、今季から変更になる外国籍選手、帰化選手の出場ルールにアジャストすることに成功した。

 Bリーグ初年度にチームを牽引したギブソン&ハレルソンのゴールデンコンビ復活は心強いが、それ以降の各チームの成長スピードは思いのほか早い。彼ら自身はもちろん、2人を擁したチーム全体が初年度以上のパフォーマンスを発揮できるかは大きなポイントだ。また、昨季はもう一枚が足りなかったPGは、bjリーグ時代の2013年に大阪でプロデビューした畠山俊樹の復帰で目処が立ったが、アウトサイドシューター不在はBリーグ初年度から解消されていないなど、琉球を追うには解消すべき不安材料がいくつか残る。

 そんななかで今季はHCが交替。33歳の穂坂健祐がアシスタントコーチ(AC)から昇格して指揮を執る。HC就任は今回が初めてだが、bjリーグ時代の岩手ビッグブルズ、そして大阪でと合計8年間、ACを務めてきた。「基本を大切にプレーし、リーグを代表するタフなチームになる」と今季への意気込みを語る穂坂HCが、チームを率いる立場になって、これまでに積み重ねてきた経験をどう発揮するのか。

 その穂坂HCをアソシエイトコーチとして支えるのが、昨季王者のアルバルク東京でACを務め、ルカ・パヴィチェヴィッチHCと真っ向から意見を戦い合わせていた37歳の富山晋司。穂坂HCと富山コーチは、互いの足りない部分を補い合う関係になるだろう。大阪はチームの命運を30代の若いコーチの二頭体制に託し、初年度から目標に掲げてきたプレーオフ進出を狙う。

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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