PG王国の琉球が地区連覇へリード B1リーグ開幕プレビュー 西地区編

カワサキマサシ

不祥事が影落とす京都、序盤は苦戦必至か

昨季2位の京都は不祥事の影響が影を落とす 【(C)B.LEAGUE】

 本来ならば琉球の対抗馬には昨季、西地区2位の京都をあげたいところだが、オフシーズンの間に所属選手2名が不祥事を起こしたことが、大きな影を落とす。1年間の出場停止を受けた選手は替えがきかない日本人ビッグマンで、もう1人のガードの選手は契約解除。想定外のアクシデントに見舞われ、チーム作りに遅れが出てしまった。

 昨季、1000分以上プレーした選手のなかでリーグ6位の1試合平均16.8得点をマークし、攻撃の要だったジョシュア・スミスが富山グラウジーズへ移籍してしまったのも痛手だったが、その穴は韓国リーグ得点王のデイヴィッド・サイモンを獲得することで埋めた。スミスはペイントエリアでは絶対的なスコアラーだったがプレースピードに劣る面があり、ときに穴になる場面もあった。サイモンがそこを補ったうえで、持ち前の得点力を発揮すれば、京都にとっては昨季以上のプラスが得られる。

 現時点でのロスターは10人しかいない。しかし、そのうち9人は昨季も在籍した選手である点は、継続を是とする浜口炎HCにとって好材料。シーズン序盤は苦戦を強いられるだろうが、京都を率いて8季目の浜口HCがいかに早い段階でチームを形作れるかが大きなカギを握る。

「東高西低」は打ち破られるか?

 Bリーグ初年度の一昨季は西地区最下位に沈んだ滋賀だが、HCが「前線からプレスを仕掛け、速い展開に持ち込む」スタイルを掲げるショーン・デニスに替わった昨季は3位へとジャンプアップ。今季もチームの戦い方はキープ・コンセプトで、2シーズン目になって戦術の浸透度が深まれば面白い存在になるだろう。

 しかしデニスHCのバスケを体現していた並里が移籍してしまったのは、少なくないマイナス材料だ。替わって加入したのは、前身のトヨタ自動車時代から6年間A東京に在籍し、昨季は琉球でプレーした二ノ宮康平。強豪チームで経験を重ねてきたPGが、デニスHCのバスケにアジャストできるか。そして消耗の激しいデニスHCのスタイルを、シーズンを通じて貫くことができるのか。リーグの台風の目になるには、それらをクリアしなければならない。

 昨季の名古屋Dは、リーグ最多勝を挙げた三河に続いて中地区2位。かつてのNBL時代は中位クラスのチームで、Bリーグになってからは旧bjリーグ勢には強いが、NBL時代から強豪だったチームには苦戦している。昨季も中地区2位ではあるが、リーグ全体での勝利数は8位。今季は自チームをのぞく5つがすべて旧bjリーグ勢の西地区に転籍した。同地区間での対戦が増えることを味方につけ、勝ち星を伸ばしたいところだ。

 Bリーグ初年度をB3からスタートした福岡は昨季にB2王者となり、3シーズン目にしてB1昇格を果たした。B1で戦うにあたっては、半数の選手の入れ替えを敢行。加わったのは津山尚大(前琉球)、波多野和也(前島根)、城宝匡史、遥天翼(ともに前新潟アルビレックスBB)、青木ブレイク(前富山)と、いずれもB1でプレーした経験を持つ者たちを集め、B1仕様のチームに変貌した。昨季のB2を制した勢いに、彼らの経験がうまく合わされば、リーグに波乱を起こす可能性を秘めている。

 最後に。西地区のチームが上位進出を果たすためには、同地区内での対戦はもちろん、交流戦でいかに勝ち星をつかむかがポイント。そのことは昨季の結果にも、如実に表れている。今季も東・中地区には、強豪がひしめいている。西地区の各チームには、東高西低が明らかなBリーグの構造を打破するきっかけになるものを、今季の戦いのなかで見せてもらいたい。

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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