プロレスこそ最強最高のエンタメだ 東京03豊本のプロレスあれこれ(44)
今回は「プロレスは最強で最高のエンターテインメントである」がテーマです 【写真:SHUHEI YOKOTA】
そのわれわれの舞台、僕が言うのもなんですが、すごく繊細で、その瞬間の言い方とか間の取り方とかで如実に笑いの量が変わったりします。
ましてネタ中、急に野次を飛ばされたり、「頑張れー!」と大きな声で励まされたりされたら、それはそれで面白いですけど、ネタ本来の面白さが崩れてしまいます。
いわば、演目としては脆(もろ)いものだと思います。
という事で、今回のコラムは「プロレスは最強で最高のエンターテインメントである!」です。
野次でも機材トラブルでも平気
では、他の演目、例えば音楽はどうでしょう? コンサートやライブ、お客さんがいくら騒いでも、舞台よりは大丈夫でしょう。
しかし機材トラブルや停電とかだとリカバーできない可能性があります。音が出ないような事があると台無しに。
そういう脆さはあるかもしれません。
しかし、プロレスは脆くない!
お客さんが騒ごうが野次を飛ばそうが平気。
昔、新日本プロレスの両国大会で急きょカード変更で組まれた長州力&マサ斎藤組vs.藤波辰巳(現・辰爾)&木村健吾組(現・健悟)は物が飛び交い「やめろ!」という野次の中、試合は成立させていました。
リングがなくても停電でもレアなハプニング
引退・復活を繰り返す大仁田厚さんは、マイクでお客さんの野次を黙らせたことも 【写真:SHUHEI YOKOTA】
しかし大仁田さんはマイクを取って「あんたは嘘ついたこと1度もないのか?」と開き直りの逆質問。まさかの問いかけにお客さんが黙り、大仁田さんの復活を許したという事もありました。
機材のトラブルも平気です。
かつて、FMWの興行で、リング輸送が試合開始時間に間に合わなかったトラブルもありました。リングがなければプロレスじゃない、という時代でしたからなかなか大変なトラブルです。しかしリングアナが試合開始前に事情をお客さんに説明した上で「本日の試合はすべてノーリングマッチで行います!」と訴えると、お客さんも歴史の立会人的感覚に陥り、大会が異常に盛り上がるという事もありました。
もっというと、大仁田さんの試合ではないですが、電流爆破デスマッチで停電により電流も爆破もない試合になってしまった事もあります。
これもレアなハプニングを見たという優越感を生まれさせ、事なきを得ました。
ま、普通の試合なら会場が停電で真っ暗でも、月光闇討ちデスマッチという試合形式があります。会場の電気をすべて消して真っ暗な中で戦うだけなんですが、これもなかなかお客さんの高揚感を誘う良い試合形式です。
結果、プロレス的には停電など怖くないです。
プロレスは強靭なエンターテインメント!
中邑選手が叫んだように、「1番すげぇのはプロレスなんだよ」! 【写真:SHUHEI YOKOTA】
そもそもコンサートや演劇と違って、四方から見られています。
後ろから見られてもそのお客さんに伝えなきゃいけない。
レスラーは表現者として優れていないといけません。
しかも言い方は悪いですけど、ほぼ全裸。
すべてをさらけ出した者に恐れるものはありません。
入場から退場まで、視覚、聴覚、想像力をかき立て、技術も見せながら人間ドラマも見せる。トラブルをも飲み込むリアリティ。スポーツとしてもちろんですが、エンターテインメントとしても強靭。
つまりレスラーの過去の言葉をお借りすると、
「1番すげぇのはプロレスなんだよ」
「プロレスラーは強いんです!」
という答えに行き着きます。
つくづく僕は思います。プロレスは最強で最高のエンターテインメントだと。
そして、今回の内容、すごく最終回っぽい感じですけど、最終回じゃないですので誤解のないようにお願いします。
最終回は……次回です!
次回もよろしくお願いいたします。
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