棚橋選手なら歴史を変えられる! 東京03豊本のプロレスあれこれ(41)

東京03 豊本明長

テーマがたくさんあった今年のG1決勝

平成最後の夏男、G1を制したのは棚橋弘至選手でした! 【写真:SHUHEI YOKOTA】

「G1クライマックス2018」。

 新日本プロレスにおいてこの夏1番強い選手を決める大会です。

 近年のG1は優勝の予想がつかない! 出場メンバーも多いし誰が優勝してもおかしくない。そんな中で優勝者決定戦に残った2人。

 棚橋弘至vs.飯伏幸太。

 こんなにテーマがある試合はないです!

 棚橋選手のことを飯伏選手は“神”と呼ぶぐらい尊敬する選手。昨年のG1でも戦っているのですが、そこで生まれた神を超えるための技、『カミゴェ』。そのカミゴェで神を超えてみせた飯伏選手。果たして今年は?

 一方、棚橋選手に焦点を当てるなら、最近はケガに悩まされ思うように試合ができていないのではないか? ロスインゴ、バレットクラブなどのユニット抗争の流れに乗れていない、このまま一線から遠ざかってしまうのか? そんな心配をどこか感じさせる中での決勝進出。強い棚橋が帰ってくる予感をさせてくれました。

「活かす」プロレスか「壊す」プロレスか

飯伏選手(上)はその身体能力の高さと予測不能な閃きで、プロレスをさらに危険な領域にまで広げています 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 飯伏選手だとDDTからの盟友ケニー・オメガ選手がIWGPヘビーのベルトを持っている今こそ、G1を優勝して挑戦する。そこに意味とドラマがあります。

 しかし僕個人としては、格闘技ブームに押され、『アントニオ猪木』の影に悩まされる新日本プロレスを“プロレス”で救った男、誰もが成し得なかった『猪木=新日本』を変えた男・棚橋弘至。

 その新日本に現れた突然変異のプロレスラー、その身体能力の高さと予測不能な閃き、そしてプロレスをさらに危険な領域にまで広げた男・飯伏幸太。

 プロレスをプロレスで守った男と、プロレスを破壊しかねない男との一騎打ち。

 構図としてはベビー対ヒール。

 若干偏った見方ではありますが、そういうテーマを持って見させてもらいました。

 あ、もちろん、飯伏選手が嫌いでもないですし、なんなら好きな選手ですけど、今の新日本においては、影響力もあり、とんでもなく危険分子。

 このリーグ戦でも行われたケニーvs.飯伏(8.11日本武道館大会)を見た方なら分かると思いますが、「この2人、どちらかが死んじゃうんじゃないか?」という激しい試合でした。

 僕の考えはあくまで、プロレスは相手選手の肩を3秒間マットにつけるぐらいのダメージを与えれば充分と思ってます。

 でも飯伏選手は、その範囲内でもきちんと魅せられる選手であるにもかかわらず、ストッパーがない。まぁそれが魅力の1つなんですけどね。

 一方、棚橋選手の試合にはすべて救いがあります。相手を倒すのはもちろんの事、相手を活かすというプロレスの醍醐味(だいごみ)も含めてきます。

 飯伏選手は相手を壊しかねない、なんなら自身が壊れてしまう可能性もあるプロレス。

「活かす」か「壊す」かです。

 そして、肝心の試合は……。

 棚橋選手が勝ちました。

 しかもハイフライフローで勝利!

 新技で勝つとかではなく、今まで通りのフィニッシュで勝ってくれたというのもすごく意味があると思います。

 ここでも棚橋選手はプロレスを守ってくれている気がしました。

挑戦権利証を行使して王座奪取した選手はいません

「ちょっくら優勝してきます」と宣言してG1を制した棚橋選手なら、ここまでのジンクスを変えることだってできるはず 【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】

 ちなみに2012年からG1の優勝者には次のイッテンヨン東京ドームのメインでIWGPヘビーのベルトに挑戦できる権利証を得ます。

 そしてイッテンヨンまでに挑戦権利証を狙ってくる選手を倒してベルトに挑む、という制度があるのですが、これがなかなか過酷。

 事実、イッテンヨンまで辿り着いてもベルトを奪取した選手が過去の歴史で1人もいません。

 僕はこの歴史を最初に変えることができるのは棚橋選手だけだと思っています。だってさっきも言いましたけど、誰もできなかった『猪木=新日本』を消した選手なんですよ?

「ちょっくら優勝してきます」でG1を制覇した選手ですよ?

 ちょっくら歴史を変えて欲しいです。
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著者プロフィール

プロダクション人力舎所属のお笑いトリオ「東京03」のメンバー。「特技:プロレス観戦」というほどのプロレス通。FIGHTING TV サムライでは「速報!バトル☆メン」の水曜司会も担当している

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