渡邊雄太が語る米国でのビジョン グリズリーズのユニホームに袖を通して
グリズリーズでの背番号は「12」
メディアデイで初めて公に背番号12のユニホームを着て現れた渡邊雄太 【Getty Images】
9月24日(現地時間、以下同)、メンフィスで開催されたメディアデイで初めて公にメンフィス・グリズリーズのユニホームに腕を通し、渡邊雄太はそう述べた。
正直な思いの吐露だったのだろう。ジョージ・ワシントン大での4年間は練習、ゲーム、勉強に明け暮れる多忙な日々を過ごしてきた。カレッジキャリアを終えて以降はさらに慌ただしく、NBAのワークアウト、グリズリーズとの2ウェイ契約、日本代表での練習やゲームなどをこなしてきた。
そんな日々を経て、ついに寸前まで近づいたNBAの舞台。グリズリーズの本拠地フェデックス・フォーラムに現れた渡邊は、頻繁に笑顔を浮かべ、感慨に浸るよりも新たな挑戦を楽しみにしている様子だった。
グリズリーズでの背番号は12。「高校時代、プレップ(スクール)時代、大学時代とずっと12番を付けていて、12番が一番愛着のある番号なので今回もこの番号を選びました」という言葉通り、ユニホーム姿に違和感はなかった。生涯の夢をかなえ、日本バスケットボール界の期待も背負った挑戦がこれから始まろうとしている。
自身で認識する2つのアピールポイント
2ウェイ契約を手にした選手は基本的にGリーグの所属だが、1シーズンに45日間だけNBAでロースター登録が許される。グリズリーズが渡邊とこの契約を結んだのは、2018−19シーズンに向けたトレーニングキャンプが始まる約2カ月前のこと。これほど早い時期にオファーがあったことは、チーム側が選手に一定の評価を与えていることを物語る。04年にフェニックス・サンズでプレーした田臥勇太以来、日本人史上2人目のNBAプレーヤー誕生は目前に近づいたと言っていい。
もっとも、渡邊本人には「日本人2人目」という称号へのこだわりはないという。
「僕自身は日本人何人目とかは正直まったく意識していません。まず純粋にバスケ選手としてあのコートに立てるということが素晴らしいことだと思うので。自分が日本人2人目の選手になったからといって、満足してしまうとそこで終わってしまいそうな気もするので、そこは一切考えずにバスケ選手としてあのコートに立って、あのコートでしっかり通用するんだというのを証明したい。あまりそこに対するこだわりは僕自身は持っていないです」
米国で短くない期間を過ごす過程で、渡邊は自身の力で道を切り開いてきた。ジョージ・ワシントン大時代は4年連続で平均得点を伸ばし、4年生時にはエースに就任した。もちろん周囲への感謝は忘れていないし、日本を代表するという気持ちもあるに違いないが、何よりも、一選手としてどこまでいけるかを自分自身が知りたいという気持ちは強いはずだ。そして、本人が自分の長所と立ち位置を認識し、プロレベルでの成功のために必要なことを理解しているのは心強い。
「やっぱり自分のアピールポイントは、まずディフェンス。1番(ポイントガード)から4番(パワーフォワード)まで付けるという部分と、あとはオフェンスではシュート力をアピールしたいなと思っています。その2つをしっかりやることができれば、少しずつプレータイムはもらえるんじゃないかなと。その2つをまず徹底的に自分の武器として使えるレベルまでしっかり持っていって、そこから徐々に自分のパターンというか、技を増やしていければと思っています」